2023年3月に供用開始された、JR大阪駅のうめきたエリア。特急「はるか」号や「くろしお」号、おおさか東線の列車などが発着しています。
21番線から24番線までの地下ホームには、フルスクリーンドアやAI券売機などの最新設備があります。このエリアには今のところお店はなく、閑散としています。
うめきたエリアにあるうめきた地下北口改札口には、様々なきっぷを買える「みどりの券売機プラス+AI」が設置されています。AI技術(人工知能)が導入されているのですが、どのような操作感があるか試してみました。
また、近距離きっぷ用券売機では、うめきた地下北口改札から西口改札までを無料で通過できる「通行証」を発行できます。これを発券し、実際に歩いてみました。
「みどりの券売機プラス+AI」には、AI音声認識機能が実装されています。現状では高度な案内機能はなく、タッチパネルへの入力補助機能程度の能力です。
この記事では、大阪駅に新たに誕生したうめきたエリアを訪問し、「みどりの券売機プラス+AI」を操作してきっぷを購入したり、西口改札までの無料「通行証」を発行した体験をご紹介します。
- うめきたエリアは地上ホームと離れていて、連絡通路を無料で通行できること
- 「みどりの券売機プラス+AI」にはAI音声認識機能が追加されていること
- AIに向けて話しかけるのと、オペレーターと会話するのとは全く異なること
かつての梅田貨物線が地下化され「うめきたエリア」に
大阪駅うめきたエリア(大阪市北区)を走る地下線は、かつて大阪駅の北側地上を走っていた梅田貨物線が地下化されたものです。元々貨物線であることから、旅客列車の他に貨物列車が走ることがあります。
この貨物線は、新大阪駅(大阪市淀川区)から大阪駅を経て西九条駅(大阪市此花区)までの区間を走る、東海道本線および大阪環状線の別線です。
その貨物線上にはかつて駅がありませんでしたが、地下化を契機に大阪駅に地下ホームが整備されました。2023年3月以降、特急「はるか」号や「くろしお」号、おおさか東線の列車などが大阪駅に停車するようになり、地下ホームを発着するようになりました。
当該地下ホームがあるエリアは大阪駅地上ホームとはかなり離れているため、「うめきたエリア」と呼ばれています。
大阪駅うめきたエリアの様子
大阪駅うめきたエリアは、大阪駅の北西地下に位置します。大阪駅から梅田スカイビル方面に向かうと、その途中にあるというとイメージしやすいでしょうか。
うめきたエリアは、大阪駅ラッチ外(改札口の外)の地下道から向かうと分かりにくい位置にあります。初めて向かう場合、大阪駅西口からラッチ内連絡通路(改札口の内側)を通ると迷わずたどり着けます。大阪駅西口からうめきたエリアまでは昇り降りがあり、ゆっくり歩いて10分ほどです。
これは、うめきたエリアのコンコースです。列車ののりばは、21番線から24番線まであります。出来立ての施設のため新しく、混雑する大阪駅構内としては考えられないほど人も少ないです。
21番線に設置されたホームドア。特急列車も停車することから、フルスクリーンドアという先進的なドアが採用されています。
22番線には、ホームドアは設置されていません。おおさか東線の列車が発着します。
大阪駅としてはにわかに信じられないくらい、静寂に包まれています。特急「くろしお」号に大阪駅から乗車する場合には、時間にゆとりを持つよう気を付けたいです。
西口・うめきた地下口間の無料通行証を発券!
駅のラッチ内(改札口の内側)に入場するには、通常入場券を買う必要があります。しかし、大阪駅のうめきたエリアに至るには難があることから、西口とうめきた地下口の間を行き来する場合に限って、無料で通行できる特例があります。
無料で通行する場合、この写真に記載されたルールがあります。改札口に入場してから出場するまで20分以内という制限があり、ホームにも入れません。制限を超える場合、入場券を購入します。
ここでは、券売機にて西口・うめきた地下口間の無料通行証を発券する方法をご説明します。ピンク色の券売機でも青色の券売機でも、通行証を発行できます。
近距離きっぷ用券売機にて[きっぷを買う]を押すと「入場券」を押すことができます。入場券を買う要領で次に進みます。
入場券の金額が表示されますが、画面の右上にある[通行証はこちら]を押します。
金額が0円と表示されるので、この内容で発券します。
表示事項が多いため、マルス券サイズの通行証が発券されます。
それでは、「みどりの券売機プラス+AI」の試用体験に入ります!
うめきた地下口に設置された「みどりの券売機プラス+AI」を試用!
大阪駅うめきた地下口には、AIが搭載された「みどりの券売機プラス+AI」が1台だけ設置されています。AI機能とはいっても、オペレーターによる援助を受けられる「みどりの券売機プラス」に音声認識機能が追加された程度です。
現状では、タッチパネルに入力する代わりに音声入力が可能です。AIの音声認識機能に助けてもらうか、オペレーターに援助してもらうかの二者択一できっぷを購入します。自己操作できっぷ購入を完結できることはいうまでもありません。
指定席券売機におけるAIの音声認識機能がいかなるものか興味津々だったため、さっそく試してみました。
かんたんきっぷ購入[▶はじめる]が大きく表示されているので、それを押します。ちなみに、[メニュー一覧]を押すと、他の「みどりの券売機」にあるような初期画面が表示されます。オペレーターを呼び出すこともできます。
音声入力とタッチ入力に対応している旨表示されます。音声録音について同意を求められるので[同意して次に進む]を押します。
受話器でガイダンスを聞きながら、希望をユーザーの音声で伝えます。初期画面は、このような構成です。出発駅・到着駅・利用日時・人数を音声か画面タッチかで入力します。AI機能と言っても、音声認識機能であることが分かります。
新大阪駅を到着駅と告げると、このように処理中の状態になります。
次の画面では、座席の種類(設備)・座席の位置・割引証/障害者手帳の有無を入力します。
これらの事項の入力が完了すると、ホストコンピューター「マルス」に問い合わせます。
今回は、新快速12号の「Aシート」が検索されてきました。この段階で細かな要望を認識させるのは困難でした。シートマップの表示や次の列車の表示など、細かな要望を音声認識できなかったので、結局タッチパネルで入力しました。
別の普通列車を表示しました。この内容で問題ないので、音声入力で次に進みました。
タッチパネルで[OK]を押しました。
購入するきっぷの内容が確定すると、音声入力ができなくなり、以降タッチパネルを操作することになります。
決済画面に進みます。ここから先は従来の「みどりの券売機」と同じやり方です。
領収書が欲しい場合、タッチ入力で発行します。
これが、一連の操作で発券されたきっぷです。今回購入したきっぷが単純な乗車券だったにもかかわらず、内容を音声認識させるのに苦労しました。込み入った内容だったとしたら、無理してAIの音声認識を使用するよりもオペレーターの援助を仰いだ方が良いと思います。
今回は、出発駅を他駅に変更したり、経路を指定したりはしませんでした。AI機能が実装されていることをうたっているにしては、部分的に音声認識ができる程度と、はったりをかまされた感じです。
まだまだ音声認識の精度が高くないため、定型的な句しか認識できません。Amazon Alexaスマートスピーカーのような高度な使用感を期待すると、物足りない印象を持つことになるでしょう。今後の機能アップデートに期待したいです。
まとめ
2023年3月にオープンした大阪駅のうめきたエリア。供用間もないため駅ナカのお店もなく、静寂に包まれています。
うめきたエリアは、大阪駅の地上ホームから遠くに位置するため、アクセスが難しいです。初めて向かう場合、西口から連絡通路を通るのが無難です。
アクセスの困難さがあるためか、この連絡通路を20分間以内に通行する場合に限り、入場料金が不要な特例があります。その際には、近距離きっぷ用券売機で通行証を発券し、自動改札から入場します。
うめきた地下口の改札外のきっぷうりばには、AI機能が搭載された「みどりの券売機プラス+AI」が設置されています。オペレーターの援助を受けられる「みどりの券売機プラス」に、ユーザーの音声をAIが認識する音声認識機能が搭載されているといえば、的確でしょう。したがって、オペレーターと会話するのではなく、AIに向かって話しかけるイメージです。
単語レベルの音声は認識できますが、基本的な単語以外を発声しても認識されません。結局、タッチパネルで入力することが多くなると思います。まだまだ先進的な取り組みのため、今後の機能アップデートに期待したいです。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
改訂履歴 Revision History
2024年02月01日:初稿
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