JR東日本の運賃改定で変わること・変わらないこと【2026年3月】~制度変更を伴う大胆改定を丁寧に解説~

山手線普通列車有楽町駅にて 運賃制度

JR東日本管内の運賃が、ついに全面的に値上げされることになりました。

運賃改定の申請が国土交通省によって認可された場合、普通運賃および定期運賃が2026年3月より改定される見込みです。

今回の運賃改定では、単に運賃水準(賃率)が引き上げられるだけではありません。注目すべき点は、従来の営業制度(きっぷのルール)が大幅に修正されることです。そのため、JR東日本から告知された内容を難しく感じたのではないでしょうか。

当ウェブサイトでは、これまでJR各社の様々な運賃制度を取り上げ、賢く活用する技術をご紹介してきました。その中には裏ワザと言えるものも含まれましたが、今回の運賃改定によって多くの内容が影響を受けることが分かりました。

電車特定区間の賃率廃止によって、東京地区のJR線を利用する多くの人が、値上げの影響を大きく受けます。今回の運賃改定を機に、きっぷの活用法が大きく変わりそうです。

この記事では、2026年3月に実施されるJR東日本の運賃改定のポイントを押さえ、何が変わり、何が維持されるのかを見ていきます。あわせて、運賃改定の影響を受ける諸制度について、当サイトの関連記事を交えてご説明します。

この記事を読むと分かること
  • 東京附近の電車特定区間・山手線内の賃率廃止で多くの人に影響があること
  • JR他社またがりの経路に導入される運賃加算で計算がより複雑になること
  • JR6社間の運賃通算および遠距離逓減制は維持されること

2026年3月JR東日本運賃改定のポイント

最初に、2026年3月に実施されるJR東日本管内の運賃改定によって変わる点と変わらない点を、押さえていきましょう。

ようやく訪れた運賃水準・営業制度変更の瞬間

JR東日本の運賃水準および営業制度は、1987年のJR発足以降変化がありませんでした。

その間には経済情勢や鉄道利用の大きな変化があったものの、長い間現状維持されてきました。旧国鉄時代に定められた制度をそのまま引き継ぐよう、国から要請されてきたからです。

JR発足から30年以上が経過した今、従来の運賃水準および営業制度にようやく手が加えられることになりました。旧国鉄時代から受け継がれてきたものが大きく変わろうとしている、歴史的な瞬間と言えるでしょう。

これまで、JR本州3社の運賃水準や営業制度の足並みは揃っていました。しかし、JR東日本が運賃を改定することによって、差が生じることになります。

新しい運賃水準や営業制度が適用されるのは、JR東日本管内に限定されます。そのため、JR東日本とJR他社をまたがって乗車する場合の取り扱いが、より複雑になります。

運賃改定の主な内容

今回の運賃改定では、単なる運賃水準の引き上げにとどまらず、多くの営業制度にメスが入ります。今回は、以下の点に変更が加えられます。

  • 賃率の引き上げ(幹線・地方交通線)
  • IC運賃の端数整理の方法の修正
  • 電車特定区間・山手線内区分の廃止(幹線への統合)
  • 鉄道駅バリアフリー料金の廃止
  • 私鉄と競合する特定区間の整理
  • JR他社またがりの経路への「通算加算方式」の適用
  • 東京駅と熱海駅間の新在別線扱い

これらの見直しから、値上げと同時に運賃体系をよりシンプルにしようとする意図がうかがえます。

また、新幹線を利用する遠距離ユーザーの負担増を最小限に抑える一方、東京圏を移動する近距離ユーザーに多く負担してもらおうという意図が見え見えです。

一方で、今回の運賃引き上げがJR東日本管内に限られることから、乗車区間がJR他社にまたがる場合の運賃の調整が必要になりました。その調整方法が複雑なことから、シンプルな運賃体系を目指す動きと逆行するような効果が生じます。

往復乗車券および連続乗車券の終売、往復割引の終了が別に告知されましたが、今回の運賃改定の動きと関連がありそうです。

JRの運賃制度が複雑であるがゆえに、規則を活用したきっぷの裏ワザが成立してきました。今回の営業制度の修正によって、多くの活用術が封じられると言えましょう。

東京都心部のJR線ユーザーへの影響大

これらの見直しによって最も影響を受けるのが、東京都心部を走る山手線内の区間を利用するユーザーです。

賃率が特に低かった山手線内の賃率(1キロ当たり13.25円)が廃止され、より高い幹線の賃率(1キロ当たり16.96円)に統合されます。

顕著な例としては、東京駅から新宿駅までの普通運賃が、現行の210円から260円へと50円引き上げられます(紙のきっぷの場合)。50円という大幅な引き上げに衝撃を受けた方が、多いのではないでしょうか。

JR中央線と並行する東京メトロ丸の内線の運賃は、210円です。東京メトロの値上げがない限り、ユーザーが丸の内線に流れるのではないかと思われます。

それでは、これらの中でも重要な変更点について、具体的に見ていきます!

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賃率の引き上げ~運賃水準の根本的な変更~

横須賀線普通列車品川駅にて

2026年3月に実施される運賃改定の要は、運賃水準の引き上げです。1キロ当たりの運賃単価を「賃率」と言いますが、今回JR東日本管内全区間の賃率が引き上げられます。

幹線・地方交通線の賃率引き上げ

幹線および地方交通線の賃率が、それぞれ現行から4.7%引き上げられます。営業キロ11km以上300km以下に適用される新旧の賃率(第1地帯)は、以下の表の通りです。

運賃区分現行賃率改定賃率値上げ率
幹線16.2016.964.4%
地方交通線17.8018.665.2%
本州3社の運賃テーブル(1987年4月現行)

営業キロが10km以下の区間については、運賃額(税抜)そのものが4.7%引き上げられます。

4.7%という基本的な賃率の引き上げ幅は、昨今の物価上昇の割合と比較する限り、決して高いとは言えません。鉄道事業に関する経営が厳しい割には、必要最小限の引き上げに留まったというのが、率直な感想です。

東京附近の電車特定区間および山手線内の賃率廃止

今回の運賃改定では、東京附近の「電車特定区間」および「山手線内」に設定されている賃率が廃止されます。これらの賃率が「幹線」の賃率に統合されることになります。

東京附近の電車特定区間範囲図
画像引用元:JR東日本ニュースリリース

これが、東京附近の電車特定区間に属する路線です。東京都心から概ね40km圏内の東京通勤圏に一致します。旧国鉄時代には、「国電」と呼ばれる電車がこの範囲で走っていました。

営業キロ11km以上300km以下に適用される現行の賃率および幹線の新賃率(第1地帯)は、以下の表の通りです。

運賃区分現行賃率改定賃率値上げ率
電車特定区間(東京)15.3016.9610.4%
山手線内13.2516.9616.4%
JR東日本の運賃テーブル(1987年4月現行)

上表を見る限り、賃率の新旧差が非常に大きいのです。そのため、実質的な賃率の上昇は、上述した表面的な賃率の上昇をはるかに超えます。東京地区に位置する電車特定区間と東京都心部に位置する山手線内において、値上げの影響が特に大きいと言えるでしょう。

山手線内の実例については、前述した通りです。また、電車特定区間の東京駅から大宮駅までの区間では、現行の580円から620円まで40円引き上げられます。

電車特定区間内での乗車距離が長ければ長いほど、運賃の値上げ幅が大きいと言えます。

NOTE

電車特定区間の外縁部に位置する駅と電車特定区間の出口に位置する駅では、隣駅であっても運賃に大きな差がありました。今回の改定で、そのギャップが埋まるメリットがあります。例えば、これまで全区間で幹線運賃が適用されていた、[東京・土呂間(33.3km)]の運賃が、隣駅の[東京・大宮間(30.3km)]と同額になります。

私鉄競合対策の特定区間を大幅整理

JR線と並行する私鉄線との競合対策として制定されていた「特定運賃」の設定区間が、今回見直されます。従来30区間で特定運賃が設定されていましたが、今回の見直しによって12区間にまで減少します。現在の利用実態にそぐわない区間が、整理される形です。
 
存続する主な区間と競合線名は、以下の通りです。

JR線区名区間競合線区名
総武本線東京・西船橋東京メトロ東西線
横須賀線新橋・逗子京浜急行線
東海道線品川・横浜京浜急行線
横須賀線横浜・逗子京浜急行線
中央本線新宿・八王子京浜急行線
中央本線新宿・高尾京浜急行線
中央本線・青梅線新宿・拝島西武拝島線
山手線・東海道線渋谷・横浜東急東横線
山手線・中央本線渋谷・吉祥寺京王井の頭線

整理される対象区間の利用者数は多くないと思われるため、大きな影響が生じるとは考えられません。しかし、設定が削減される区間の大半は、京浜急行線と並行する横須賀線(逗子駅以遠)の区間です。

横須賀線は従来電車特定区間に含まれていたため、今回の運賃改定の影響をもろに受けます。逗子駅以遠の利用が減少し、ローカル線化するような気配を感じます。

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JR他社との関係による運賃額の調整

熱海駅ホーム

JR東日本による運賃改定の影響範囲は、当然のことながらJR東日本管内に限定されます。JR東日本に隣接するJR北海道、JR東海およびJR西日本とは異なった運賃体系を持つようになるため、運賃の調整が必要です。

「通算加算方式」による調整額の導入

乗車区間がJR他社にまたがる場合の運賃計算方法について、会社ごとに運賃計算が打ち切られるのではないかという懸念がしばしば持ち上がります。幸いなことに、JR会社ごとに運賃計算が打ち切られることなく、従来通り通算されることになりました。

JR本州会社とJR三島会社にまたがって乗車する場合、全区間の営業キロを通算した上で、三島会社分の調整額を加算します。

それと同じ方式が、JR東日本でも導入されるわけです。本州3社現行の運賃テーブルと東日本の新運賃テーブルの差額(値上げ相当分)を加算額として、基準額に上乗せします。

例えば、大宮駅から伊東駅までの区間の普通乗車券を購入する際、経路上の東京駅から熱海駅まで東海道新幹線に乗車するケースを考えます。境界駅は、東京駅および熱海駅の2駅です。

大宮駅から伊東駅まで
乗車区間営業キロ基準額加算額
大宮駅ー東京駅30.3km●●円(A)
東京駅ー熱海駅104.6km
熱海駅ー伊東駅16.9km●●円(B)
合計151.8km2,640円●●円(A+B)または(A)+(B)
加算額は未定

大宮駅・東京駅間30.3kmにかかる加算額(A)と、熱海駅・伊東駅間16.9kmにかかる加算額(B)のキロ程を通算とするか(A+B=47.2km)、別個に加算するか(A=30.3km)+(B=16.9km)、その取り扱いはまだ明らかにされていません。

いずれにせよ、乗車区間がJR会社またがりになる場合の運賃計算が難化することが明らかです。

この方式が仮にJR東海やJR西日本にも導入されたとしたら、基準となる共通の運賃テーブルが不明確になり、収拾がつかなくなることでしょう。

東京駅・熱海駅間の新在別線扱い

新幹線と在来線では違う線路を走るものの、運賃計算上は同じ線路とみなして運賃を算出します。これを「新在同線」と言います。一方、新幹線と在来線を別の線路として扱う区間が例外的に存在します。これを「新在別線」と言います。

東京駅から熱海駅まで

これまで同一線路として扱われていた東海道新幹線(JR東海)と東海道線(在来線:JR東日本)の東京駅・熱海駅間104.6kmが、今回の運賃改定によって新在別線の扱いに変更されます。

2026年3月以降、この区間を含む普通乗車券を購入する際には、新幹線に乗車するか、在来線に乗車するかをあらかじめ特定する必要があります。

新下関駅から博多駅まで

この考え方がすでに導入されているのが、小倉駅・博多駅間です。山陽新幹線に関してはJR西日本の賃率、在来線の鹿児島本線に関してはJR九州の賃率が適用されます。

新幹線経由の普通乗車券を買ったものの、旅行開始後に在来線を利用したいとなった場合、区間変更として差額分が徴収される形です。

この処理が、ユーザー数が圧倒的に多い東京地区で行われるとすると、どのような混乱が生じるか。想像することさえ困難です。

新幹線と在来線の「新在別線」について、詳細を以下の記事にまとめてあります。是非ご一読ください。

ここからは、存続される営業制度を列挙していきます!

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運賃改定を経ても変わらない営業制度

上野東京ライン普通列車大宮駅にて

運賃改定に伴って見直される制度が多くある一方で、影響を受けずに存続する制度もいくつかあります。一つずつご説明します。

告知された内容から推測できること

運賃改定の告知内容から、これまでと変わらない制度が何か、推測が可能です。以下のような点から、全国のJR各社がただちに分断されないことがうかがえます。

● JR6社間の営業キロ通算

JR他社にまたがる経路に対して「通算加算方式」による加算額が課されるということは、日本全国のJR線全区間にわたる営業キロが通算されることを意味します。JR各社ごとに運賃計算が打ち切られる懸念がよく指摘されますが、今回は影響を受けませんでした。

● 運賃の遠距離逓減制

片道601km以上の営業キロ(第3地帯)に課される賃率(1キロあたり7.05円)については、据え置くこととされました。

遠距離きっぷに対する賃率を低く抑える施策を「遠距離逓減制」と言います。飛行機などとの競合対策や遠距離区間の利用促進の観点から、遠距離逓減制がそのまま維持されたと考えられます。

● 特急・グリーン料金

今回の改定は、運賃部分に対するものです。したがって、特急料金やグリーン料金は変更されません。

告知で言及されていないこと

今回の運賃改定の告知資料の中で触れられていないものの、以下のような重要な点を押さえていく必要があります。

● 乗車券類の分割・併用

区間が連続していれば、2枚以上のきっぷを併用することは制限されていません。つまり、途中駅で運賃計算を打ち切り、2枚以上のきっぷに分割することで、運賃を節約できる場合があります。

発駅から着駅まで通しのきっぷを購入するよりも、途中駅で分割した2枚以上のきっぷを買った方が低額であることは、本来は不公平なことです。しかし、今回はその点にメスが入ることはありませんでした。

● 途中下車制度・特定都区市内制度

遠距離きっぷに欠かせないのが、途中下車制度および特定都区市内制度です。

山手線内の運賃水準が劇的に引き上げられることから、仮に特定都区市内制度が終了するようなことがあったら、ユーザーにとって負担が増加します(単駅打ち切りによって在来線運賃が別にかかる)。

途中下車制度が仮に終了するとしたら、鉄道きっぷの姿が根本的に変わります。

これらの制度については言及がありませんが、ユーザーにとって影響が大きいため注視したいです。

それでは、JR東日本管内の運賃改定によって影響を受ける制度に関連する記事をご紹介します!

運賃改定で影響を受ける裏ワザのまとめ

山手線普通列車池袋駅にて

これまで説明した内容で、運賃改定によって変わることと変わらないことを理解いただけたのではないでしょうか。

ここから先、運賃改定によって直接影響を受ける裏ワザに関する筆者の記事をまとめたいと思います。

往復乗車券

往復乗車券の終売が、JR東日本管内の運賃改定とは別個に告知されました。学生割引やジパング倶楽部等の割引、往復割引等の関係で必要な券種でしたが、運賃改定に関連して発売終了になります。

連続乗車券

往復乗車券と同様、連続乗車券についても発売が終了になります。

往復割引を活かすための内方乗車

営業キロが片道で601km以上離れた駅間において往復乗車券を購入する場合、運賃の「往復割引」が適用されます。上述した往復乗車券および連続乗車券の終売によって、この割引が廃止されます。

電車特定区間の廃止・見直し(東京・大阪)

JR東日本管内における東京附近の電車特定区間の廃止の他、JR西日本管内における大阪附近の電車特定区間も2025年3月に見直しされます。

大阪地区では電車特定区間が存続されますが、その範囲や適用される運賃の賃率が変更されます。

大阪地区の電車特定区間の見直しに関する動きを踏まえ、電車特定区間に関する全般的な知識をまとめてあります(姉妹サイト「鉄道の極み」)。

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新幹線を経由線区とすることで東京近郊区間外しすること

前述した東京駅・熱海駅間については、在来線の東海道線が東京近郊区間に含まれる一方、東海道新幹線が東京近郊区間から除外されています。

大都市近郊区間で完結する場合には途中下車できませんが、経路の途中に新幹線を含めることで回避可能です。しかしながら、東海道線と東海道新幹線が別線化することで、途中に新幹線を含めることが困難になります。

横浜駅・新横浜駅周辺の選択乗車

上述した区間で東海道新幹線経由の乗車券を購入し、実際には在来線に乗車することが、選択乗車の規定によって可能です。

しかし、新幹線と在来線の別線化によって、選択乗車可能な区間から除外される可能性があります。東京駅・熱海駅間をめぐっては、ユーザーが取り得る行動に制約が課される結果になりそうです。

運賃引き上げに伴う運賃制度の大幅な変更に対する私見を、ここでお話しさせていただきたいと思います。

営業制度の修正は慎重に進めなければならない~筆者の私見~

上野駅コンコース

昨今の社会情勢を鑑み、鉄道運賃の引き上げが必要です。健全な公共交通機関の運営を確保するために、エネルギーコストや人件費の上昇分を運賃・料金に適度に反映させることは、避けて通れません。

しかし、以下の点が実現されることが、適切な運賃引き上げの条件になると考えています。

● 利益が過度にならないこと

JR各社が民間企業であること、特にJR東日本については完全民営化された上場企業であることを念頭に置く必要があります。

上場企業であるからには、より多くの利益を得ることが要請されるのは当然のことです。しかし、利益追求に走ることと、公共交通機関としての公共性を確保することは、根本的に相反します

JRを利用する市民の目線では、株主への還元が過度にならないよう監視が必要です。運賃引き上げの結果増加した利益が、投資家に横流しされることは避けなくてはなりません。

● 旅客サービスを低下させないこと

株主への還元が優先された場合、ユーザーへのサービスが削減されることが想定されます。実際に、JR東日本の現場では頻繁に見られることです。

山手線の運行本数の削減、出札窓口(みどりの窓口)の削減、細かい点では紙のきっぷをしまう乗車券袋の廃止や時計の撤去など、極度な合理化に走っているように感じます。

また、在来線用車両の車齢が上がり、メンテナンスに不備が目立ちます。これらの現象は、ユーザーにとってはサービス低下でしかありません。

● 関係者への説明責任を果たすこと

上述した合理化策が、ユーザー不在のままに一方的に強行されています。列車に乗車するユーザーがあっての鉄道事業であるからには、ユーザーはもちろん、ステークホルダーへの説明を丁寧に行っていただきたいところです。

このようなことを踏まえ、営業制度の修正は慎重に行われなければなりません。

まとめ

山手線普通列車有楽町駅にて

JR東日本管内での運賃改定が2026年3月に実施されるべく、2024年12月に運賃改定の申請が国に出されました。

単に運賃の賃率(運賃水準)が引き上げられる他、これまで長い期間維持されてきた種々の営業制度に手が付けられます。電車特定区間・山手線内の賃率廃止、JR他社と関係する部分での制度修正(新在別線等)が該当します。

賃率引き上げの程度は4.7%と、社会情勢を考慮すれば必要最小限の水準です。しかし、鉄道運賃の改定は、経済に影響をもたらします。

東京附近の電車特定区間および山手線内の賃率が廃止されることによって、東京圏のJR線ユーザーにとっては、表面上の賃率上昇をはるかに超える実質的な負担を強いられます

「通算加算方式」によって加算額が導入され、現場での取り扱いがより複雑になりそうです。シンプルな運賃制度を目指すことと矛盾する動きであることから、JR他社と連携しながらより慎重に制度変更が行われるべきではないでしょうか。

サービス水準を落とさずに適度な利益を確保することが、JR東日本には求められます。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考資料

● JR東日本ニュースリリース「運賃改定の申請について」2024.12.06付

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第16条の2(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)、鹿児島本線(新幹線)及び長崎本線(新幹線)に対する取扱い)

当記事の改訂履歴

2024年12月09日:初稿 修正

2024年12月08日:当サイト初稿

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