JR九州管内には、乗り放題のフリーきっぷがあまり多くありません。その中にあって、長崎エリアについては「ぶらり大村線きっぷ」が隠し玉のフリーきっぷとして発売されています。
JR線だけが対象の「ぶらり大村線きっぷ」がJR九州のウェブサイトに記載されておらず、ひっそりと発売されていることはあまり知られていないかもしれません。
このきっぷは、デジタルきっぷおよび紙のきっぷとして発売されています。大村線や西九州新幹線などの乗り鉄を楽しむためのきっぷとしてだけではなく、長崎市内とハウステンボス・佐世保市内を往復移動するためのきっぷとして利用できます。
この記事では、「ぶらり大村線きっぷ」がどのようなフリーきっぷで、値頃感はどの程度かをみていきます。このきっぷの購入方法もあわせてご説明します。
- デジタルきっぷ版と紙のきっぷ版の両方が購入可能
- 西九州新幹線や観光列車にも乗車可能
- きっぷの価格設定はやや高め
隠し玉のフリーきっぷ「ぶらり大村線きっぷ」
佐世保線佐世保駅(長崎県佐世保市)から長崎本線長崎駅(長崎県長崎市)まで81.4kmの区間には、大村線を経由する列車が運行されています。快速「シーサイドライナー」号が、両駅間を約2時間で結んでいます。
そのうち、大村線の区間は早岐駅(長崎県佐世保市)から諫早駅(長崎県諫早市)までの47.6kmで、一部の区間では大村湾沿いの景勝地を走ります。早岐駅の隣にはハウステンボス駅(長崎県佐世保市)があり、ハウステンボス観光の足となっています。
また、新大村駅(長崎県大村市)から長崎駅までの区間では、西九州新幹線が並走します。観光列車「ふたつ星4047」の午後便は、大村線を走ります。
このような区間を走る列車に乗車するためのフリーきっぷに「ぶらり大村線きっぷ」があります。デジタル媒体と紙媒体の両方で発売されています。
JR九州のウェブサイトにはおトクなきっぷのページがあり、さまざまなフリーきっぷが紹介されています。JR線区間のみが対象の「ぶらり大村線きっぷ」は当該サイトには掲載されていないものの、実は密かに発売されています。
JR九州大村線特設ページにて紹介されているこのきっぷは、穴場的な存在と言えるでしょう。
いつでもどこでも買える点では、デジタルきっぷ版に分があります。お好みで、紙のきっぷ版を利用するのもアリです!
「ぶらり大村線きっぷ」フリー乗車区間・料金
JR九州長崎エリアの路線が乗り放題のフリーきっぷ「ぶらり大村線きっぷ」の特長および詳細は、次の通りです。
- 連続する2日間有効なこと
- 普通・快速列車の自由席に乗車可能なこと
- 特急券を別に購入すれば、西九州新幹線や特急列車に乗車できること
フリー乗車区間
佐世保線佐世保駅から早岐駅までの区間、大村線早岐駅から諫早駅までの全線、および長崎本線諫早駅から長崎駅までの区間が、フリー乗車の対象区間です。
また、大村線と並行する西九州新幹線の新大村駅から長崎駅までの区間も、新幹線特急券を購入すれば乗車できます(フリーきっぷが乗車券として有効)。
発売期間・有効日数
「ぶらり大村線きっぷ」は、通年で利用が可能です。また、使用開始当日に購入が可能です。
きっぷの有効期間は、使用開始日とその翌日の2日間です。フリー乗車区間のいずれかの地区で宿泊し、翌日にも使用することができます。じっくりと乗り鉄を楽しむには、良いきっぷです。
発売箇所・購入方法
「ぶらり大村線きっぷ」にはデジタルきっぷ版と紙のきっぷ版の両方があり、それぞれ購入方法が異なります。
● デジタルきっぷ版
デジタルきっぷ版は、スマートフォンアプリ「My Route」にて発売されています。My Routeアプリをスマートフォンにインストールし、利用登録すると、このデジタルきっぷを購入できます。
きっぷを購入してから1か月以内に利用開始します。利用開始日から2日間、フリー乗車区間が乗り放題です。
デジタルきっぷ版は、駅では購入できません。手元のスマートフォン上でいつでもどこでも購入できますが、それがデジタル版の利点です。
デジタルきっぷ版の買い方や利用方法については、以下の別記事(↓)をご一読ください。
● 紙のきっぷ版
「ぶらり大村線きっぷ」については、デジタルきっぷ版に限らず、紙のきっぷ版も発売されています。紙のきっぷ版は、フリー乗車区間内の駅窓口にて購入できます。駅窓口の営業時間には注意したいです。
なお、JR九州のネット予約サービスでは、このきっぷは発売されていません。
きっぷの料金・様式
デジタルきっぷ版と紙のきっぷ版の料金は、同額です。
値段:大人3,150円/小児1,570円
きっぷの効力はデジタルきっぷと紙のきっぷで同じですが、それぞれの券面デザインや提示の仕方が全く異なります。
● デジタルきっぷ版
My Routeアプリ上で、デジタルきっぷを表示します。画面にはQRコードが表示されており、その画面を主要駅の改札口に設置されているQRコードリーダーにかざすか、駅員や乗務員に提示します。
● 紙のきっぷ版
多くのきっぷと同じく8.5cmサイズのマルス券で、自動改札機にきっぷを通すことができます。自動改札機がない駅では、駅員や乗務員にきっぷを提示します。
「ぶらり大村線きっぷ」の価格分析~いかに元を取るか~
それでは、「ぶらり大村線きっぷ」がどれほどおトクか、普通乗車券や鉄道と並行して走る路線バスの運賃と比較しながら検証していきます。
● 普通乗車券との比較
佐世保駅・長崎駅間を通しで乗車した場合の運賃は、大人1,680円/小児840円です。この区間を往復で乗車する場合「ぶらり大村線きっぷ」の元が取れます。
片道のみ鉄道を利用する場合には割引なしの普通乗車券を利用し、2日間かけていろいろな駅を訪問する場合にはフリーきっぷ「ぶらり大村線きっぷ」を利用するのが適切です。
● 路線バス運賃との比較
佐世保駅・長崎駅間には、路線バスも走っています。所要時間は約1時間40分で、バスの運賃は大人1,450円/小児730円です。両駅間を単に移動するのであれば、路線バスを利用すると合理的でしょう。
このように、さまざまなきっぷと比較すると「ぶらり大村線きっぷ」は価格設定がやや高く、元を取るにはじっくりと乗り歩く必要があります。西九州新幹線や観光列車「ふたつ星4047」号を含め、乗り鉄を楽しむ場合に適したきっぷと言えます。
こんな列車に乗車可能♪
「ぶらり大村線きっぷ」を利用できるフリー乗車区間を走る列車には、次のものがあります。
西九州新幹線
西九州新幹線新大村駅・長崎駅間に限り、「ぶらり大村線きっぷ」を乗車券として使用可能です。列車に乗車するには、別に新幹線特急券を購入する必要があります。
筆者も、このきっぷで新大村駅・長崎駅間を乗車しました。車両の乗り心地は最高ですが、所要時間があまりにも短いため、乗っていて物足りない感じがします。
観光列車「ふたつ星4047」
長崎駅から大村線・早岐駅を経て武雄温泉駅に至る観光列車「ふたつ星4047」の午後便に乗車可能です。早岐駅までの区間では、ぶらり大村線きっぷを乗車券として使用できますが、その他に特急券を購入する必要があります。
大村線普通列車
JR九州の長崎エリアを走る普通列車の車両は、ハイブリッド気動車の「YC1」です。新造された車両なので、なかなか快適です。
ただし、座席の造りが固く、レイアウトもロングシートなので、長い時間乗車すると思いの外疲れます。
まとめ
「ぶらり大村線きっぷ」の有効区間には、長崎市内やハウステンボスなどの観光地が多いです。また、開業したての西九州新幹線や観光列車「ふたつ星4047」と、話題の列車にも乗車できます。これらの観光地をめぐったり、乗り鉄を楽しむためのきっぷとして活用できるのが「ぶらり大村線きっぷ」です。
「ぶらり大村線きっぷ」は、デジタルきっぷ版と紙のきっぷ版の両方があります。デジタルきっぷ版は「My Route」というスマートフォンアプリで、紙のきっぷ版は駅の窓口で購入します。
「ぶらり大村線きっぷ」の価格設定は、やや高めです。乗り鉄を楽しむ場合に有効なきっぷと言えるでしょう。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料 References
● ぶらり[BuRaRi] 長崎【大村線】特設サイト (JR九州長崎支社)
● おトクなきっぷ一覧(JR九州)2023.12閲覧
改訂履歴 Revision History
2024年5月12日:初稿 修正
2024年02月27日:初稿 修正
2023年12月22日:初稿
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