上越新幹線が直接乗り入れるスキーリゾート「ガーラ湯沢」。東京駅から新幹線でわずか75分というのがウリです。
越後湯沢駅周辺のスキーリゾートとしてはコースが所在する区域の標高が高く、雪質が良好です。新幹線で一直線という利便性とあいまって、一定の人気があります。
ガーラ湯沢スキー場に直結するガーラ湯沢駅は、スキー場がオープンしている時期だけ営業する臨時駅です。これまではこの駅のことをスキーヤー目線で見ていましたが、当記事を執筆しようと思い、鉄オタ目線で改めて駅を訪問しました。
線路や車両が新幹線ながら、越後湯沢駅からガーラ湯沢駅までの区間は在来線扱いです。そのため、運賃・料金やきっぷが特殊で、越後湯沢駅からガーラ湯沢駅まで3分間の乗り鉄をわずか250円で体験できます。
乗車する区間によっては、ネットできっぷを購入できません。各駅のみどりの窓口等で紙のきっぷを購入します。東京都心からガーラ湯沢駅までの距離の関係で、特定都市区内制度がらみの興味深いきっぷが見られます！
この記事では、新潟県湯沢町にあるガーラ湯沢駅を鉄オタ目線で探ります。駅の様子やスキーセンターの様子を見た上で、割引がない正規のきっぷの運賃制度やきっぷについて深追いしたいと思います。
- 越後湯沢駅までの運賃・料金に一律100円が加算されること
- 運賃は発着駅まで通しで計算すること（特定都区市内制度に要注意）
- 「○契」表示のあるきっぷには独自ルールが適用され、変更等に制限があること
なお、スキー場へのパックツアーでリフト券とセットで列車のきっぷ（○契）を買った場合、一般的なきっぷのルールが適用されません。この記事では、説明を割愛します。
わずか250円での新幹線乗車体験をガーラ湯沢で実現！
東京駅から上越新幹線で一直線のスキー場、ガーラ湯沢（新潟県湯沢町）。乗り換えなしでスキー場にアクセスできるということで、シーズン中にもなれば新幹線の車内は大勢のスキーヤーで混雑します。
新幹線が発着するガーラ湯沢駅はスキーセンターの建物と一体となっていて、スキー場の中に乗り入れる形です。公共交通機関である駅のターゲットがスキーヤーだけというのも、駅としては非常に珍しいです。そのようなこともあり、ガーラ湯沢駅が営業するのは、スキー場が営業する冬季からGWにかけての期間のみです。
そんなガーラ湯沢駅は、越後湯沢駅（新潟県湯沢町）から上越新幹線の線路から枝分かれし、1.8km進んだところに位置します。越後湯沢駅からガーラ湯沢駅までの乗車時間は3分間で、運賃・料金はわずか250円です。日本国内で最も安く新幹線に乗車できる区間として、3分間の乗車体験を味わえます。
ガーラ湯沢駅ではスキーを楽しむだけではなく、越後湯沢駅までの新幹線ショートトリップも体験できるわけです。
大勢のスキーヤーにまみれつつ、鉄オタとしてガーラ湯沢駅を訪問しました！
上越新幹線「たにがわ」81号でガーラ湯沢駅へ突入！
雪がすっかり積もり、安定してスキー場が稼働する1月下旬の金曜日に、上越新幹線「たにがわ」号でガーラ湯沢駅に入りました。
通年走る「たにがわ」号に加え、ガーラ湯沢駅が営業している時期には臨時の「たにがわ」号が多く走ります。定期列車の列車名は「たにがわ」400番台ですが、臨時列車は「たにがわ」70番台から80番台というところで区別できます。
今回はスキー目的ではなく、ガーラ湯沢駅を純粋に訪問するために「大人の休日俱楽部パス」を利用しました。そのパスで「たにがわ」81号の座席指定を受けました。
平日には、仕事・勉強をするユーザーが優先の「TrainDesk（トレインデスク）」が9号車に設定されます。ガーラ湯沢駅ゆき「たにがわ」号も例外ではありません。静寂に過ごせるよう、筆者は「TrainDesk」を選択。
「たにがわ」81号には、大宮駅から乗車。大勢のスキーヤーで普通車指定席はほぼ満席でしたが、9号車「TrainDesk」には余裕がありました。
途中で停車した高崎駅では、大勢のビジネスユーザーが下車。その先、終点まで乗車する人は少なかったです。
終点一つ手前の越後湯沢駅では、大勢の乗客が降車。それからまもなく、終点のガーラ湯沢駅に到着。
ガーラ湯沢駅の内部を探訪！
それでは、新幹線が発着するホームとスキーセンターの中を見ていきましょう。駅の改札口の周辺を中心にご覧いただきたいと思います。
駅ホームとスキーセンターの様子
ガーラ湯沢駅のホームは、スキーセンターの1階にあります。雪国の駅だけに、骨太な雰囲気です。
ホームの端には、雪が吹き込んでいます。新幹線がこれほど雪に埋もれる光景は、なかなか見られないと思います。
外を見ると、線路がスプリンクラーで除雪されているのが分かります。
2階にある改札口へ。エスカレーターがなく、階段を上らないといけないのが、荷物が多いスキーヤーにとっては辛いです。
自動改札を通ると、向かいにはスキー場のチケットうりばがあります。チケットを買ってから必要があれば道具をレンタルし、着替えてからゴンドラに乗るという流れです。
改札口があるフロアから3階に上がると、休憩所と日帰り温泉のエントランスがあります。今回は午前中に訪れましたが、あいにく営業時間前でした。
駅の様子（改札口・きっぷうりば）
列車に関係あるところとして、スキーセンターの中には自動改札と列車のきっぷうりばがあります。周辺の他駅ではみどりの窓口（有人窓口）が閉鎖されていますが、ガーラ湯沢駅ではみどりの窓口が存続しているのがありがたいです。
改札口は、列車の発着する時以外は静まり返っています。列車が発車する15分前から改札口を通れる形です。
有人窓口（みどりの窓口）です。外国人が多く利用しているようでした。
ガーラ湯沢駅を訪問した証として、入場券を購入。
きっぷうりばの様子。指定席券売機が1台と、自由席用の券売機が2台設置されています。後述するように、かなりレアなきっぷを購入できます。
それでは、当記事の本題である運賃制度やきっぷを見ていきましょう！
ガーラ湯沢駅をめぐる運賃・料金制度
新幹線のみが乗り入れるガーラ湯沢駅を利用する場合、乗車券の他に特急券が必要です。普通列車が乗り入れていないので、青春18きっぷは利用できません。
特定特急料金の適用
ガーラ湯沢駅にかかる特急料金は、少しだけ独特です。越後湯沢駅・ガーラ湯沢駅間は在来線扱いということがあり、特急料金は大人100円と特定されています（特定特急料金）。自由席・指定席・グリーン車の設備によらず、一律で100円です。
上越新幹線の各駅からガーラ湯沢駅まで乗車する場合、各駅から越後湯沢駅までの特急料金に上記の特定特急料金を加算します。ガーラ湯沢駅までの新幹線特急料金が、個別に設定されているわけではありません。
越後湯沢駅・ガーラ湯沢駅間のみを乗車する場合、乗車できるのは自由席だけです。指定券を発売しないため、この区間だけでは普通車指定席やグリーン車に乗車できません。
東京中心部から乗車する場合の留意点（特定都区市内制度）
特定特急料金については上述の通り特殊なルールがありますが、乗車券（運賃）については一般ルールが適用されます。したがって、越後湯沢駅を超えて乗車する場合でも、運賃計算は着駅まで通しで行います。東京からガーラ湯沢駅に向かう場合、特定都区市内制度にかかわる点で注意が必要です。
東京駅・越後湯沢駅までの営業キロは199.2kmで、［東京山手線内 ➡ 越後湯沢］となります。しかし、東京駅・ガーラ湯沢駅までの営業キロは201.0kmです。201km以上となるため［東京都区内 ➡ ガーラ湯沢］となります。時刻表の早見表には運賃が掲載されていないため、引っ掛かりやすいところです。
越後湯沢駅までの乗車券と、越後湯沢駅・ガーラ湯沢駅間の乗車券を分割することが、一案です。
特定都区市内制度の基本について知りたい方は、以下の別記事（↓）を是非ご一読ください。
「新幹線eチケット・タッチでGo！新幹線」の扱い
ガーラ湯沢駅には自動改札口が設置されていて、チケットレスで乗車できる「新幹線eチケット」および「タッチでGo！新幹線」に対応しています。
上越新幹線東京駅方面の各駅には「タッチでGo！新幹線」の料金設定があります。越後湯沢駅までの料金に大人100円を加算するのが基本ですが、東京駅・上野駅についてはどういうわけか、加算額が異なります。
これらのチケットレス乗車の場合には、特定都区市内制度は適用されません。紙のきっぷとの料金差が不規則なので、注意したいです。
「○契」乗車票の扱い
ガーラ湯沢スキー場はJR東日本グループが運営しているため、新幹線のきっぷとスキー場のチケットがセットになった商品が多く発売されています。その場合にユーザーが受け取るきっぷは、いわゆる「○契（まるけい）」といわれる乗車票です。
この乗車票については個別の契約が適用されているため、一般的なきっぷのルール（旅客営業規則）が適用されません。駅のみどりの窓口では、乗車変更や払いもどしを受けられないことに留意しましょう。
ガーラ湯沢駅にかかわるきっぷの買い方（特定特急券等）
運賃・料金制度が特殊な越後湯沢駅・ガーラ湯沢駅間にかかわるきっぷの買い方には、留意点があります。ガーラ湯沢駅で購入する越後湯沢駅ゆききっぷの様式が変わっていて、興味深いです。
新幹線越後湯沢駅および新潟駅方面のきっぷはネットで購入不可
指定券を発売しない越後湯沢駅・ガーラ湯沢駅相互間のきっぷおよび上越新幹線新潟駅方面に乗り継ぐ場合のきっぷについては、ネット予約サービス「えきねっと」では購入できません。
このようにエラーが表示され、先に進めません。現地で紙のきっぷを購入するか、（新潟駅方面の場合）越後湯沢駅できっぷを分割することを検討したいです。
なお、上越新幹線東京駅・上毛高原駅間とガーラ湯沢駅相互間のきっぷは、えきねっとで購入可能です。
ガーラ湯沢駅で購入できるきっぷ
ネットでの発売制限があるため、着駅によっては現地できっぷを購入する必要があります。ここでは、ガーラ湯沢駅で購入した越後湯沢駅ゆきのきっぷをご紹介します。
短距離きっぷ用券売機では、浦佐駅以遠新潟駅方面の特定特急券・乗車券や、越後湯沢駅で在来線に乗り継ぐ場合の特定特急券・乗車券を通しで購入可能です。
越後湯沢駅までのきっぷを買おうとすると、特急券と乗車券の両方を購入するよう、暗に誘導されます。
これは、短距離きっぷ用券売機で購入した越後湯沢駅ゆき特定特急券です。エドモンソン券ではなく、マルス券サイズで発行されます。
特急券同様に購入した乗車券です。金額式ではなく、着駅名が記載されたマルス券サイズのきっぷが発行されます。これを見ると、出札窓口に昔あった印刷発行機（印発）から出力される乗車券の様式を思い出します。
これは、窓口で購入し、マルス端末から発行された特定特急券です（マルス券）。これは、現地のガーラ湯沢駅に限らず、他のみどりの窓口でも購入可能だと思われます。
同様にして購入したマルス券版の乗車券です。
まとめ
越後湯沢駅の北1.8kmにあるガーラ湯沢駅はスキー場に直結し、冬季期間のみ営業する臨時駅です。そのため、営業形態や運賃・料金制度が特殊で、他では見られないきっぷが発売されています。
ガーラ湯沢駅には、越後湯沢駅からの特定特急料金が設定されています。そのため、［特定特急券大人100円＋乗車券大人150円＝250円］で新幹線に乗車できます。ガーラ湯沢駅・越後湯沢駅間は、日本で最も安く新幹線の乗車体験を味わえる区間です。
ガーラ湯沢駅ゆきのきっぷは、発着する駅によってネット予約サービス「えきねっと」では購入できない場合があります。また、チケットレス乗車サービスも利用できない区間があります。
したがって、ガーラ湯沢駅を利用する場合、自由席に乗車できる特定特急券および乗車券（紙のきっぷ）を購入する機会が多くなります。券売機で購入するきっぷは、他には見られない様式です。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました！
参考資料 References
● 「タッチでGo！新幹線」（JR東日本）2024.02閲覧
● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第57条（急行券の発売）
当記事の改訂履歴 Revision History
2024年6月28日：初稿 修正
2024年02月06日：初稿
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