JR各社による「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」が、現在展開されています。このキャンペーンを盛り上げるため、JR九州から「福岡・大分DC&オフろう!きっぷ」というおトクなきっぷが、期間限定で発売されています。
これは、福岡県と大分県内のJR九州在来線に、3日間にわたって乗り放題のフリーきっぷです。普通・快速列車はもちろんのこと、在来線特急列車の自由席にも乗り放題で、行動範囲が広がります。
JR九州から発売されるフリーきっぷが数少ないので、旅費がかさむとお悩みの方が多いのではないでしょうか。その状況で発売されたこのきっぷが、福岡県内および大分県内を経済的に移動する大きな助けに違いありません。
筆者もこのきっぷを購入し、3日間にわたって福岡県内と大分県内の路線を乗り歩きました。
このきっぷを活用して、観光列車の特急「ゆふいんの森」号(座席指定要)や特急「ソニック」号に乗車できます。とても安く移動ができて、おトク感にあふれています!
この記事では、JR九州から期間限定で発売されている「福岡・大分DC&オフろう!きっぷ」および「福岡・大分オフろう!きっぷ」に関する詳しい情報をまとめました。きっぷの値段や購入方法といったスペック面の他に、このきっぷで乗車できる列車をご紹介します。
- ネット限定発売のため、駅では買えないこと
- 紙のきっぷを受け取るまで、座席指定を受けられないこと
- 座席指定を受ければ、観光列車「ゆふいんの森」号にも乗車できること
絶賛の安さ!特急列車乗り放題でこのお値段
「福岡・大分オフろう!きっぷ」の特長は、自由さと価格設定の安さに尽きます。
後述するように、このフリーきっぷのフリー乗車区間に含まれる博多駅から別府駅までの運賃・料金は、割引なしで片道7,000円前後です。
一方、このきっぷを購入すれば、3日間特急列車の普通車自由席に乗り放題です。フリー乗車区間内であれば、自由気ままに列車を乗り歩けることは言うまでもありません。それでいて、このきっぷの値段は、利用期間によりますが8,000円か10,000円です。
余計なことを考える必要がない激安のきっぷ「福岡・大分オフろう!きっぷ」。旅費がかさむという悩みは、一挙に解決です!
福岡県と大分県内のJR九州在来線に乗り放題の「福岡・大分オフろう!きっぷ」
JR各社では、一定の期間を定めて、全国各地の観光キャンペーンを打っています。そのキャンペーンを、「デスティネーションキャンペーン」といいます。「デスティネーション」とは「目的地」のことで、略すと「DC」です。
2024年4月から9月にかけて、福岡県と大分県を対象に「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」が行われています。その取り組みの中で、対象地域内の鉄道利用促進が図られます。その一環として、おトクなきっぷが発売されることがあります。
そのような背景で、冒頭で申し上げた通りのフリーきっぷが発売されています。4月から6月にかけては「福岡・大分DC&オフろう!きっぷ」、7月から9月にかけては「福岡・大分オフろう!きっぷ」と、名称を変えて発売されます。
JR九州らしく、いずれのきっぷもかなり攻めたネーミングです。大分の「オ」、福岡の「フ」が、このきっぷの名称に含まれています。
JR九州では近年、特急列車に乗り放題となる一般向けのフリーきっぷが発売されない傾向があります。今回のようなフリーきっぷにはなかなかお目にかかれないので、福岡県内および大分県内の鉄道を気ままに乗り歩くのは、今がチャンスだと言えます。
特急列車に乗車できる安価な設定のきっぷなので、乗り鉄に限らず、目的地への単純往復にも利用価値が十分あります。
それでは、このきっぷの値段・発売条件や購入方法を説明します!
オフろう!きっぷのスペック~フリー乗車区間・値段・発売条件~
このきっぷについては、発売期間によって名称が微妙に変わります。
4月から6月にかけて利用できるのは「福岡・大分DC&オフろう!きっぷ」で、7月から9月にかけて利用できるのは「福岡・大分オフろう!きっぷ」です。きっぷのスペックや効力は同じですが、発売金額だけ異なります。
利用期間・発売期間
このきっぷの有効期間は、利用開始日から連続した3日間です。例えば、5月23日が使用開始日の場合、5月25日まで対象区間が乗り放題です。
各きっぷの利用期間および発売期間は、それぞれ次の通りです。
● 福岡・大分DC&オフろう!きっぷ
利用期間:2024年4月1日から6月30日まで
発売期間:同年6月21日まで
● 福岡・大分オフろう!きっぷ
利用期間:2024年7月1日から9月30日まで
発売期間:同年9月21日まで
いずれのきっぷも設定期間中であれば購入可能で、利用できない除外期間は特にありません。ただし、利用開始日の7日前までにオンライン決済を完了する必要があります(5月23日利用開始ならば、同月16日までに申込)。
きっぷの有効期間の最終日に、翌日にまたがる列車に乗車する場合、当該列車の終着駅まで乗車できます(青春18きっぷのように、0時を過ぎて最初に止まる駅までではありません)。
きっぷの値段
利用期間によって、発売金額が異なります。
● 福岡・大分DC&オフろう!きっぷ
大人8,000円/子ども2,000円
● 福岡・大分オフろう!きっぷ
大人10,000円/子ども2,500円
子どものきっぷは、大人のきっぷと同時でないと買えません。また、子どものきっぷを使えるのは、大人が同伴する場合に限ります。
フリー乗車区間
福岡県内および大分県内のJR九州在来線全区間が、連続した3日間乗り放題です。
山陽新幹線・博多南線および九州新幹線には乗車できません。また、筑肥線と直通運転する福岡市地下鉄についても、フリー乗車区間の範囲外です。
利用可能な区間をテキストでもれなく記載すると、以下の通りです。
鹿児島本線門司港駅から大牟田駅まで/日豊本線西小倉駅から宗太郎駅まで/筑肥線姪浜駅から鹿家駅まで/香椎線/筑豊本線/篠栗線/後藤寺線/久大本線/豊肥本線大分駅から豊後荻駅まで/日田彦山線・日田彦山線BRT
きっぷを受け取った際に手に取る地図券に書かれているのは、略図です。全区間が正確に表示されていないので、注意しましょう。
乗車できる列車種別・座席指定の回数
上記フリー乗車区間内の普通・快速列車および特急列車の普通車自由席に、回数の制限なく乗車できます。グリーン車に乗車する場合は、グリーン券・特急券を別に購入します。
このきっぷでは、特急列車の座席指定を3回まで受けられます。在来線特急列車であれば、対象列車は特に限定されていません。後述するように、全車指定席の観光列車「ゆふいんの森」号にも、座席指定を受ければ乗車できます。
オフろう!きっぷの発売箇所・購入方法
JR九州のおトクなきっぷは、ネット限定で発売される傾向があります。このきっぷに関しても、例によってネット限定での発売です。
JR九州ネット予約で購入申込・決済
JR九州のネット予約サービス「JR九州ネット予約」上で、購入申込および代金の決済を行います。きっぷの購入申込を駅ではできないので、注意しましょう(代金の決済を「駅でお支払い」にすれば、駅での決済も可能)。
前述した通り、購入申込の操作を利用開始日の7日前までに完了する必要があります。それ以降は、きっぷを購入できません。
駅でのきっぷ受け取り
ネット上で購入申込をしただけでは、きっぷを使うことができません。利用を開始する前に、駅できっぷを受け取りましょう。
指定席券売機でも受け取れますが、座席指定を同時に受けたい場合は有人窓口で受け取った方が便利だと思います。
座席指定の受け方
座席指定については、ネット予約サービス上ではできません。駅できっぷを受け取った後、窓口か指定席券売機で座席指定を受けます。
JR九州管内の外に住んでいる場合、きっぷを前もって受け取れません。乗りたい列車が決まっている場合、あらかじめ別の予約手段で列車の席を押さえておき、座席指定を受ける時に取り消すとよいでしょう。
筆者も、席がとりにくい「ゆふいんの森」号に乗車する際、特急券を「えきねっと」で仮に購入しておいて、座席指定を受ける瞬間に取り消しました。座席確保には、ひと工夫が必要です。
きっぷの様式(福岡・大分DC&オフろう!きっぷ)
駅で受け取る紙のきっぷは、以下の3枚の券片で構成されます。本券は、マルス端末から発券された8.5cm券です。
このサイズのきっぷは通常、自動改札を通れます。しかし、オフろうきっぷに限っては、自動改札機に対応していません。面倒ですが、有人改札を通るたびに、駅員にきっぷを提示します。
(本券)
座席指定を受けると、券面上に★が印字されます。
(案内券)
注意事項が記載されています。必ず目を通しておきたいです。
(地図券)
地図の描き方がかなり大雑把なので、ご注意を。
それでは、筆者がこのきっぷで乗車した列車をご紹介し、コスパを考えます!
オフろう!きっぷでこんな列車に乗れる!
このきっぷで特急列車の自由席に乗車できることは、すでにお話ししました。具体的にどの列車に乗車できるのか、代表的な列車を挙げたいと思います。
特急「ソニック」号
博多駅から小倉駅を経て、大分駅までの区間を結ぶ、日豊本線の特急列車です。自由席には回数制限なしで、指定席には座席指定回数の枠内で乗車できます。
自由席が取り立てて混雑するわけではないので、自由席でも十分です。しかし、確実に座りたい場合には、乗車する前に駅で座席指定を受けておいた方がよいでしょう。
今回乗車して初めて知ったことですが、青い車体の787系電車の一部の車両には、シートピッチが広い座席があります。座り心地が良いので、一度乗ってみてはいかがでしょうか。
観光列車「ゆふいんの森」号
博多駅から由布院駅を経由して、別府駅に至る観光特急「ゆふいんの森」にも、座席指定が取れれば乗車できます。
全車指定席のため、自由席がありません。あらかじめ座席指定を受ける必要がありますが、人気列車のため席がとりにくいです。きっぷの受け取りが利用直前になる場合、座席を別の手段で仮押さえするなど、工夫が必要です。
全席ハイデッカーの車両で、車窓の眺めが素晴らしいです(ただしバリアフリーには対応できていません)。この列車はJR九州の看板観光列車(D&S列車)なので、クオリティの高さを満喫できるでしょう。
日田彦山線BRT(ひこぼしライン)
厳密には列車ではありませんが、2023年8月に開業した日田彦山線BRT(通称「ひこぼしライン」)にも乗車できます。
日田彦山線の全区間には、かつては列車が走っていました。しかし、大雨被害にあったため線路が流され、添田駅(福岡県添田町)から日田駅(大分県日田市)までの区間がバスでの運行に変わりました(BRT化)。
スローな旅を路線バスに乗って満喫するのも、旅の一つの形ではないでしょうか。
オフろう!きっぷのコスパ分析
このきっぷの発売金額が、期間によって大人8,000円もしくは10,000円であることを、すでに申し上げました。ここでは、その金額がいかにおトクか、特急列車に乗車した場合の運賃・料金と比較しながら考察します。
特急「ソニック」号
博多駅から別府駅まで特急「ソニック」号の普通車指定席に乗車した場合の片道あたり所定運賃・料金は、以下の通りです。
博多駅→別府駅(小倉駅・日豊本線経由)
186.4km 運賃3,740円+特急料金2,730円=6,470円
特急「ゆふいんの森」号
博多駅から別府駅まで特急「ゆふいんの森」号の普通車指定席に乗車した場合の片道あたり所定運賃・料金は、以下の通りです。
博多駅→別府駅(久留米駅・久大本線・大分駅経由)
189.3km(運賃計算キロ203.5km) 運賃4,070円+特急料金3,230円=7,300円
以上の結果から、博多駅から別府駅までの区間を特急列車で単純往復すれば、きっぷ代の元を簡単に取れることが分かります。「福岡・大分オフろう!きっぷ」のコスパが突出していることは、明らかです。
まとめ
2024年4月から9月まで実施されている「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」に合わせて、「福岡・大分DC&オフろう!きっぷ」および「福岡・大分オフろう!きっぷ」が発売されています。それらは、とてもおトクです。
新幹線を除く福岡県内および大分県内のJR九州全線が3日間乗り放題で、8,000円もしくは10,000円です。特急列車の普通車自由席に制限なく乗車できる他、座席指定を3回まで受けられます。
JR九州の多くのおトクなきっぷのように、このきっぷに関してもネット予約サービスのみで購入できます。利用開始日の7日前までに、購入申込および決済を完了します。その上で、あらかじめ紙のきっぷを駅で受け取ります。
指定席の座席指定を受けられるのは、紙のきっぷを受け取ってからです。遠方に住んでいる場合にはこの点が不利になるため、何らかの工夫が必要になります。この点が、きっぷの唯一の短所です。
このきっぷは、マルス券でありながら自動改札機に対応していないため、有人改札を通ります。
全車指定席の観光列車「ゆふいんの森」号にも、このきっぷで乗車できます。乗り鉄で列車を乗り歩くだけではなく、由布院や別府に出かける場合に単純往復するだけでも、きっぷ代の元を簡単に取れます。コスパ抜群です!
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考資料 References
● JR九州ニュースリリース「至福の旅!大吉の旅!福岡・大分」福岡・大分デスティネーションキャンペーンを開催します!」2024.02.19付
● 福岡・大分DC&オフろう!きっぷ(JR九州)2024.5閲覧
当記事の改訂履歴 Revision History
2024年5月31日:当サイト初稿
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