JR東海道本線と伊豆急行線・伊豆箱根鉄道駿豆線を長年走る在来線特急「踊り子」号は、2021年3月から全車指定席になりました。自由席がなくなったため、座席指定された特急券を事前に購入する必要があります。
特急「踊り子」号には、運行パターンにバリエーションがあります。そのため、乗車区間によってきっぷの買い方が異なります。ネット予約サービス「えきねっと」で購入する場合、JR各社の駅で購入する場合、伊豆急行線内の駅で購入する場合、そして伊豆箱根鉄道駿豆線内の駅で購入する場合で、それぞれ異なります。
この記事では、E257系車両で運行する特急「踊り子」号普通車指定席のきっぷの買い方について、区間別にご説明します。筆者が実際に購入したチケットレス特急券、紙の特急券、および座席未指定券を交えてお話ししたいと思います。
列車によっては、混雑することがあります。予定が決まったら、お早めに座席指定を受けることをおススメします!
グリーン車については、乗車システムが一般の列車と同じため、当記事での解説は割愛します。なお、東海道線内を朝夕の時間帯を中心に走る特急「湘南」号についても、乗車システムは特急「踊り子」号と同じです。
- 特急「踊り子」号の運行形態が多彩なこと
- 伊豆急行線・伊豆箱根鉄道駿豆線内におけるきっぷの買い方
- 踊り子号車内の座席上ランプ(インジケーター)の見方
特急「踊り子」号の概要・利用パターン
特急「踊り子」号のきっぷの買い方をご説明する前に、E257系電車で運行される「踊り子」号の運行形態についてお話ししたいと思います。
この図の通り、多くの駅を発着することがお分かりいただけると思います。運行系統は、次の通りです。
● 東京駅を発着する系統
伊東編成:東京駅・品川駅(東海道本線)熱海駅(JR伊東線)伊東駅(伊豆急行線)伊豆急下田駅【グリーン車連結】
修善寺編成:東京駅・品川駅(東海道本線)熱海駅(東海道本線)三島駅(伊豆箱根鉄道駿豆線)修善寺駅【普通車指定席のみ】
伊東編成(9両編成)と修善寺編成(5両編成)が連結されて14両編成で運行される列車が、定期列車で1日2往復あります。この列車は、途中の熱海駅で連結作業を行います。
● 池袋駅・新宿駅を発着する系統
池袋駅・新宿駅(湘南新宿ライン・東海道線)熱海駅(JR伊東線)伊東駅(伊豆急行線)伊豆急下田駅【グリーン車連結】
土休日等、多客時に臨時列車として1日1往復運行されます。修善寺駅方面には乗り入れません。
以上の区間を運行する踊り子号に乗車するパターンとしては、次の3つが考えられます。
- JR線を含んだ区間を乗車する場合
- 伊豆急行線内のみ乗車する場合
- 伊豆箱根鉄道駿豆線内のみ乗車する場合
踊り子号は、JR線内のみを運行するのではなく、他社線にも乗り入れます。それぞれの運行パターンにおいて、きっぷの買い方が異なります。
JR線を含まない特急券・乗車券については、JR駅のみどりの窓口やネット予約サービス「えきねっと」を利用することはできず、各線の駅窓口で購入する必要があります。
全車指定席の踊り子号には、座席の販売状況を示すランプ(インジケーター)が当該座席上に付いています。空席状況が一目瞭然に分かるため、便利です!
全車グリーン車の「サフィール踊り子」号とは別物
E257系特急「踊り子」のグレードアップ版の列車として、同じ区間を全車グリーン車のE261系「サフィール踊り子」号が走っています。
両列車ともグリーン車が連結されていますが、列車のグレードそのものが全く異なります。列車名に「踊り子」が含まれていても、まったく別の列車と考えるのが妥当です。
サフィール踊り子号については、以下の別記事(↓)に予約方法や料金体系を投稿しています。サフィール踊り子の情報をお探しの場合、是非ご一読ください。
特急「踊り子」号における乗車制度の変更点
2021年3月に踊り子号の車両がE257系にリニューアルされたタイミングで、列車の乗り方が大きく変更になりました。
- 自由席がなくなり、全車指定席に
- 指定席特急料金の変更、座席未指定券の導入
- 伊豆箱根鉄道線内で無料だった特急料金が有料化
特に、伊豆箱根鉄道駿豆線内のユーザーにとっては、変化が大きかったのではないかと思います。
なお、E257系特急「踊り子」号の伊東編成(伊豆急行線乗り入れ)に連結されているグリーン車のきっぷの買い方・乗り方については、従前から変更はありません。この記事では、普通車指定席に絞ってお話を進めたいと思います。
JR線内から乗車する場合のきっぷの買い方
東京駅・池袋駅から伊東駅・三島駅までのいずれかの駅で乗降する場合、次の方法で指定席特急券と乗車券を事前に購入します。
事前に座席指定を受けて特急券を購入する場合
踊り子号の特急券には、ネット限定割引「在来線チケットレス特急券(トク割)」があります。駅では割引きっぷが発売されていないため、ネット予約サービス「えきねっと」を使うと便利でしょう。
ネット予約サービス「えきねっと」上で購入
ネット予約サービス「えきねっと」を利用すると、以下のタイプの特急券を購入できます。
- 割引なしの特急券(紙のきっぷを受け取り)
- ネット限定割引「在来線チケットレス特急券(トク割)」
- 通常のチケットレス特急券
いずれの特急券も、あらかじめ座席指定を受けることができます。
● 「在来線チケットレス特急券(トク割)」
「在来線チケットレス特急券(トク割)」は、通常料金の35%引きとお手頃です。普通に利用する限り、乗車変更やキャンセルを行う場合に条件面をあまり気にする必要はありません。したがって、ファーストチョイスとしておススメします。ただし、この特急券はネット予約限定で、クレジットカード決済が必須です。
この特急券はチケットレスのため、紙のきっぷを受け取る必要はありません。ただし、乗車券は含まれていないので、別に購入する必要があります。
「在来線チケットレス特急券(トク割)」は、列車の出発時刻まで購入できることになっています。ただし、踊り子号は人気があるため、早々に売り切れる傾向があります。お早めに予約することをおススメします。
● 通常のチケットレス特急券
チケットレス特急券には、大幅割引の「在来線チケットレス特急券(トク割)」以外に、通常タイプもあります。検索結果には「チケットレス割引」と表示されますが、紙のきっぷよりも大人で100円安いにすぎません。これも、紙のきっぷを受け取る必要はありません。
「在来線チケットレス特急券(トク割)」が売り切れた場合、通常のチケットレス特急券を購入するとよいです。これもチケットレス特急券なので、クレジットカード決済が必須です。
これらのチケットレス特急券と交通系ICカードを併用する場合は、紙のきっぷを受け取ることなくそのまま乗車できます(交通系ICカードが使えない区間があるので要注意)。
● 通常の特急券(紙のきっぷ)
えきねっとで予約購入するメリットがあまり感じられないものの、従来通り紙のきっぷとして特急券を買って、駅で受け取ることも可能です。決済手段としてクレジットカードを利用できない場合には、紙のきっぷを購入することになります。
また、えきねっと以外のネット予約サービス(e5489など)では割引はなく、通常の特急券となります。
【えきねっと利用上の留意点】
えきねっと上では「座席未指定券」を購入できません。後述の通り、駅で購入します。
チケットレス特急券以外の特急券および乗車券(紙のきっぷ)については、乗車する前に駅で受け取る必要があります。JR東日本の駅以外(伊豆急行線・伊豆箱根鉄道線・JR東海)の各駅では、えきねっとで購入したきっぷを受け取れないので、ご注意ください。
えきねっとで特急券を購入する場合、伊東編成についてはシートマップを表示して、自分で好きな座席を取ることができます。しかし、修善寺編成については、えきねっとではなぜかシートマップが表示できず、おまかせになります。
筆者もアプリから操作してみましたが、シートマップが表示されませんでした。席番に希望がある場合、駅で無割引の特急券を購入するしかありません。
JR駅のみどりの窓口・指定席券売機で購入
JR線の区間を含む限り、どのようなパターンのきっぷでも駅で購入できます。えきねっとで表示できない修善寺編成のシートマップも、駅の指定席券売機では表示できます。
駅員と相談しながらきっぷを購入できますが、割引がない所定料金を支払うことになります。
伊豆急行線内・伊豆箱根鉄道線内の駅から乗車し、駅の窓口で購入する場合については、この記事の後半で別途ご説明します。
特急券を事前に購入できない場合
座席指定された特急券を事前に購入できない場合、やむを得ず次の手段を取ることになります。
- 「座席未指定券(事前料金)」を購入しておき、列車に飛び乗る
- 特急券なしで列車に飛び乗り、車内料金で特急券を車内で購入する(無札)
伊豆急行線・伊豆箱根鉄道駿豆線内の無人駅から乗車する場合、乗車時に駅できっぷを購入できません。他の発売箇所で事前にきっぷを買っておかない限り、座席未指定の状態で乗車せざるを得ません。現実的には、事前購入が難しいケースが多いでしょう。
これらの場合のデメリットは、指定席特急券と同額の料金を払いながらも自分の座席が確保されないことです。せっかく「赤色」のインジケーターが光った空席が見つかって座ったものの、いつまで座っていられるか気が気ではありません。そんなわけで、筆者的にはおススメしません。
座席未指定券を買っておいた場合、列車に乗る直前に座席指定を受けるのが、賢い行動だと思います。座席未指定券に関する詳細について、別の記事(↓)にまとめました。是非ご一読ください。
乗車券・交通系ICカードについて
JR東日本の熱海駅・伊東駅までの各駅および伊豆急行線各駅では、交通系ICカードを利用できます。チケットレス特急券を購入してIC乗車する場合、乗車券(紙のきっぷ)を購入する必要がありません。
修善寺編成で三島駅および伊豆箱根鉄道駿豆線内各駅まで乗車する場合、Suicaエリアを外れてしまうため、交通系ICカードを利用できません。チケットレス特急券を利用する場合でも、あらかじめ乗車券(紙のきっぷ)を用意する必要があります。
伊豆急行線内から乗車する場合の指定席特急券の買い方
乗車する区間に伊東駅以北のJR線区間を含むか含まないかで、購入できる駅ときっぷの様式が異なります。
伊豆急行線内の駅発着でJR線の区間を含む場合
この場合、座席指定の特急券を伊豆急行線内の乗車する発駅の窓口でも購入できますし、JR線の他の駅でも購入することができます。座席未指定券も購入できますが、座席指定を受けるようにしましょう。
ネット予約「えきねっと」でも予約・決済できますが、紙のきっぷを伊豆急行線内の駅で受け取れません。チケットレス特急券と交通系ICカードの併用で乗車するのでなければ、えきねっとは利用せず、駅の窓口できっぷを買ったほうがよいでしょう。
伊豆急行線内の駅では、座席未指定券を自動券売機でも購入できますが、座席指定を受けるためにはどのみち窓口に行かないといけません。。。
JR線にまたがって乗車する場合、どの駅で買っても一般的にみられるマルス券の8.5cm券が発券されます。
伊豆急行線内で乗車が完結する場合
伊豆急行線の伊東駅と伊豆急下田駅の間のみを利用する場合、JRの駅で特急券を購入することはできません。えきねっとも利用できません。
伊東駅から乗車する場合は、JR伊東駅みどりの窓口で伊豆急行線内のきっぷを購入できます。その他の駅から乗車する場合は、踊り子号が停車する駅で伊豆急行線内の特急券を購入し、座席指定を受けます。伊豆急行線内完結の場合でも、座席指定はちゃんと受けることができます。
JR伊東駅で購入した線内の特急券。
乗車する設備ごとの本体の常備券に、座席指定された証の指定券(12cmサイズの指のみ券)がホチキス止めされて発券されます。踊り子号については、普通車用と(「踊り子号」の)グリーン車用の2種類の常備券が存在します。
本体の特急券は、座席未指定券と共用です。
伊豆急行線内の窓口で座席指定を受けると、任意の区間が反映され、こんな感じになります。
伊豆箱根鉄道駿豆線内から乗車する場合の指定席特急券の買い方
上述した伊豆急行線の場合と同様、乗車する区間に三島駅以東のJR線区間を含むか含まないかで、購入できる駅ときっぷの様式が異なります。
伊豆箱根鉄道線内の駅発着でJR線の区間を含む場合
この場合、座席指定の特急券を発駅の窓口でも購入できますし、JR線の他の駅でも購入することができます。座席未指定券(赤地の常備券)も購入できますが、座席指定を受けるようにしましょう。
伊豆箱根鉄道駿豆線内では交通系ICカードを使用できません。そのため、チケットレス特急券を併用する場合であっても、必ず乗車前に普通乗車券(紙のきっぷ)を用意します。
JR線にまたがって乗車する場合、修善寺駅では一般的にみられるマルス券の8.5cm券が発券されます。
修善寺駅以外の特急停車駅では、発車時刻の直前に駅員さんが特急券を手売りしてくれます。この場合、(時間に余裕があれば)電話で座席を取って、緑地の常備券に席番を手書きしたものを発券してもらえます。
伊豆箱根鉄道線内で乗車が完結する場合
伊豆箱根鉄道駿豆線の三島駅と修善寺駅の間のみを利用する場合、JRの駅で特急券を購入することはできません。また、線内完結の場合、伊豆急行線とは違い、座席指定が受けられません。赤色のインジケーターが点灯した空席を利用します。
伊豆箱根鉄道三島駅で購入した線内特急券。サイズが大きいD型硬券1種類で、とてもシンプルです。
特急「踊り子」号の座席の座り方~ランプの色の意味~
全席指定席の「踊り子」号の各座席には、当該座席の販売状況を示す3色のランプ(インジケーター)が付いています。このインジケーターの色は、逐一更新されます。
インジケーターの色には3つあり、それぞれの意味は次の通りです。
● 赤色:販売される見込みのない席(しばらくの間空席)
● 黄色:販売された席(これから先の駅から間もなく席が埋まる)
● 緑色:販売された席(誰かがすでに座っているはず)
座席指定された特急券を買ってから乗車し、指定された正しい座席に座る時には、このインジケーターが必ず「緑色」になっています。万が一緑色になっていない場合、予約した座席とは違う座席に座ろうとしていませんか。
乗車する前に座席指定を受けられずに座席未指定券や無札で乗車した場合、その時点で売れていない「赤色」の座席に座りましょう。
この場合、当該座席がいつでも販売され、インジケーターが突然「緑色」に変わる可能性があります。間もなく、座席指定を受けた(特急券を正しく買った)人が乗ってくるはずです。
座席指定を受けた特急券を持ったユーザーが当該座席に座る権利があるため、今まで座っていた座席を譲らなければなりません。列車が混雑した時に乗車した場合、たとえ座席未指定券(特急券)を買っておいても空席が全く見つからない恐れがあるため、できるだけ乗車前に座席指定を受けておきたいです。
ユーザー目線では、どの席に誰が座るのか、座席の埋まり方はどのような状況か、インジケーターを見れば一目で分かります。列車の乗務員だけではなく、ユーザーにとっても安心で便利です。
しかし、自分が予約しておいた席に、他の人が座っている可能性があります。その人に席を空けてもらう必要がありますが、誰しもが気を遣うのではないかと思います。
まとめ
東京と伊豆半島を結ぶ在来線特急「踊り子」号。E257系車両で走る特急列車です。発着する駅にいろいろなバリエーションがあることから、きっぷの買い方が実は複雑です。
ネット予約サービス「えきねっと」限定で、割引料金の「在来線チケットレス特急券(トク割)」を購入できます。踊り子号の席を予約する際、最初にあたっていただきたい料金です。人気があるきっぷでしばしば売り切れるので、早めに購入することをおススメします。
JR線内と伊豆急行線内のみを乗車する場合、交通系ICカードでIC乗車し、チケットレス特急券を購入すると、駅できっぷを買ったり紙のきっぷを受け取る必要がありません。
一方、修善寺編成で三島駅以遠まで乗車する際、交通系ICカードでのIC乗車はできません。必ず乗車する前に普通乗車券(紙のきっぷ)を購入します。
車内の各座席上には、座席の販売状況が表示されたランプ(インジケーター)があります。自分が予約した席は、緑色が表示されています。誰も予約していない席には、赤色のランプが表示されています。
インジケーターで予約状況や車内の混雑状況が一目でわかるため、ユーザーにとっても便利です。しかし、座席指定を受けずに乗車している人が自分の席に座っている可能性があります。その場合、席を空けてもらうのに気を遣います。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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2024年4月23日:初稿 修正
2024年01月09日:初稿 修正
2023年12月30日:当サイト初稿(リニューアル)
2022年02月07日:原文作成
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