JRきっぷ「区間外乗車」特例の基本~折り返し乗車になる区間の運賃・料金がどうなるかを詳しく解説~

中央本線神田駅 運賃制度

JR線のきっぷを買って列車に乗車する際、時に「区間外乗車」という特殊な状況に遭遇するかもしれません。

乗車したい経路を指定してきっぷを買い、その経路通りに旅行するのが本来の姿です。しかし、駅の配置や列車の運行形態によっては、経路に含まれない区間を折り返して乗車せざるを得ないことがあります。そのため、区間外乗車という概念が登場します。

きっぷを購入する際、運賃および料金は実際に乗車する経路によって計算するのが原則です。そのため、区間外乗車する場合の運賃・料金の取り扱いが一体どのようになっているかを、しっかりチェックしておきたいです。

区間外乗車の特例が適用される場合、途中下車しなければ当該区間の運賃・料金はかかりません。複雑なルールですが、ユーザーの利便性や利益を確保するためには重要です。

この記事では、JRのきっぷにおける「区間外乗車」の基本的な概念や運賃・料金の計算方法について、実務者向けに詳しく解説します。

区間外乗車に関する実際のエピソードをご紹介した上で、旅客営業規則上に規定されている区間外乗車特例のさまざまなバリエーションを深掘りしていきます。

また、区間外乗車に関連して、一部の駅で残っている「復路専用乗車券」についても、あわせてお話ししたいと思います。

この記事を読むと分かること
  • 特例により折り返し乗車となる区間をきっぷなしで乗車できること
  • 特例設定区間内の各駅では途中下車できないこと
  • 途中下車したくなったら運賃・料金を別途支払うこと(まれに復路専用乗車券が登場)

区間外乗車の特例とは?

リゾートしらかみ号川部駅にて

列車に乗車する際、きっぷの経路に含まれない区間には乗車できないことは、言うまでもありません。経路通りに列車を乗り継いで、着駅まで向かうことが原則です。

しかし、何らかの事情によって、きっぷに示されていない区間を乗車する必要性が生じることがあります。当該区間がきっぷの区間外であるということで、「区間外乗車」と定義されます。

区間外乗車が発生するパターンは、大きく分けて次の2つです。

  • 分岐駅において乗降できるホームが設置されていないパターン
  • 列車が通過するため分岐駅で乗り継ぎできないパターン

後述するように、JR各社の運送約款である「旅客営業規則」上では、さらに細かく規定されています。

いずれのケースも、列車の乗り継ぎができる駅までの、きっぷの区間に含まれない区間を折り返して乗車する(複乗する)形です。

区間外乗車が生じる列車の一つに、JR東日本管内の五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」号があります。

川部駅ー弘前駅間にかかる区間外乗車特例

この列車は、五能線方面から青森駅(青森県青森市)に直行するのではなく、津軽地方の拠点である弘前駅(青森県弘前市)に立ち寄ります。そのため、奥羽本線と五能線が分岐する川部駅(青森県田舎館村)から弘前駅までの区間が「区間外乗車」に当たります。

この場合、弘前駅で途中下車しない限り、寄り道する当該区間の運賃および料金をユーザーが負担するのは、必ずしも合理的とは言えません。このことが、区間外乗車の特例を適用する根拠です。

実際には当該区間を乗車しているものの、運賃・料金計算上は乗らなかったことにする取り扱いであるとも言えます。

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身近にもある区間外乗車の事例

神田駅駅名標

筆者も、日常生活において東京都心部の区間を乗車したり、乗り鉄で観光列車に乗車したりする際に、区間外乗車を行うことが往々にしてあります。

まずは、前者の事例を挙げましょう。

神田駅ー東京駅間にかかる区間外乗車の特例

東北本線と中央本線が分岐する神田駅(東京都千代田区)から東京駅(東京都千代田区)までの区間が、区間外乗車が可能な区間です。東北・上越新幹線や上野東京ラインを走る列車は、神田駅を通過します。1駅先の東京駅で乗り継ぐ必要があることが、区間外乗車の対象区間とされる理由です。

日暮里駅ー上野駅間にかかる区間外乗車の特例

また、日暮里駅(東京都荒川区)から上野駅(東京都台東区)までの区間も、同様です。東北・上越新幹線および上野東京ラインと、常磐線を乗り継ぐケースでは、前者に日暮里駅が存在しないため、自ずと上野駅で乗り継ぐことになります。

そして、後者の事例です。

区間外乗車が発生するJR東日本管内の観光列車「のってたのしい列車」の一例として、「リゾートしらかみ」号に触れました。他にも、新潟県内を走る「越乃Shu*Kura」号が該当します。

宮内駅ー長岡駅間にかかる区間外乗車の特例

上越線と信越本線が分岐する宮内駅(新潟県長岡市)で折り返すのではなく、長岡駅(新潟県長岡市)まで寄り道する形です。そのため、宮内駅から長岡駅までの区間が、区間外乗車に該当します。この区間の営業キロに関しては、運賃・料金計算には含めません。

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区間外乗車に関する運賃計算・取扱方

上野駅駅名標

区間外乗車となるケースをいくつかご紹介しましたが、ここでは、区間外乗車の実務的な取り扱い方について触れたいと思います。

区間外乗車の特例については、従来はJR各社の内規である「旅客営業取扱基準規程」において規定されていました。しかし、それらの規定は、2024年4月にJR各社の運送約款である「旅客営業規則」に移行され、一般ユーザーの目に触れる形になりました。

区間外乗車の特例対象区間は、全国に多くあります。それらの区間は、時刻表のピンクページに記載されていますが、前述した旅客営業規則には、より厳密に記載されています。

折り返し乗車する場合の運賃計算の原則

きっぷの運賃・料金計算は、実際に乗車する経路の営業キロもしくは運賃計算キロ・擬制キロを基準にします。

したがって、区間外乗車として一部の区間を折り返して乗車する場合にも、本来は当該区間の営業キロを計上するのが原則です。

その原則に従う場合、折り返す駅で運賃計算を打ち切るため、連続乗車券を発行します(折り返す駅で途中下車する場合には区間外乗車の特例が適用されないため、原則通りに取り扱います)。

折り返し乗車する区間の営業キロを計算に含めない特例

実務上は、折り返し乗車する区間を含めない形できっぷを発売し、特例で当該区間をきっぷなしで乗車させる形を取ります。

区間外乗車の特例を適用する場合、きっぷの経路に含まれる分岐駅以外の各駅では、途中下車できません。もしも途中下車したくなったら、後述するように、その駅までの往復分の運賃・料金を別途支払います。

上述した旅客営業規則上の規定は、厳密には運賃計算方に関する特例ではなく、きっぷの効力に関する特例であることに注意を払う必要があります。

したがって、原則通りに折り返しとなる区間のきっぷを発売しても、誤りではありません。しかし、ユーザーにとって不利になるため、実際には当該区間を含めない形で運賃・料金を算出し、発売するのが妥当でしょう。

それでは、区間外乗車について、詳細を一つずつ探っていきましょう!

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区間外乗車の詳細~旅客営業規則の条文ごとに解説~

日暮里駅構内
日暮里駅には上野東京ラインのホームがない

前述した通り、区間外乗車については、JR各社の運送約款である「旅客営業規則」にて規定されています。

区間外乗車は、以下の6つのパターンに分かれます。

  • 特定の分岐区間に対する区間外乗車[規則第160条の2]
  • 特定都区市内等における折り返し乗車[規則第160条の3]
  • 分岐駅通過列車に対する区間外乗車[規則第160条の4第1項]
  • 大都市近郊区間における区間外乗車[規則第160条の4第2項]
  • 海田市ー広島間にかかる区間外乗車[規則第160条の5]
  • 特定列車による折り返し区間外乗車[規則第160条の6]

それぞれの規定について、詳しく解説していきます。

特定の分岐区間に対する区間外乗車[規則第160条の2]

2つ以上の線区が分岐し、乗り継ぎが発生する駅を、分岐駅と呼びます。通常はすべての線区の列車が当該分岐駅に停車するのですが、まれにホームが設置されていない等の事情で停車しないことがあります。ユーザーにとっては、とても不便なことです。

その場合、分岐駅で乗り継ぎができないため、全ての列車が停車する近隣の駅で乗り継ぐ必要があります。

本来の分岐駅から実際に乗り継ぎを行う事実上の分岐駅までの間が、区間外乗車に該当します。当該区間のきっぷを持っていなくても乗車が可能で、両駅間の運賃および料金をユーザーは支払う必要はありません。しかし、区間外の駅では、途中下車ができません

日暮里駅ー上野駅間にかかる区間外乗車の特例

この典型例が、東北本線/常磐線日暮里駅です。日暮里駅には山手線および京浜東北線、常磐線のホームはありますが、上野東京ラインのホームは存在しません。

上野東京ライン尾久駅から日暮里駅に向かう場合、いったん上野駅まで乗車し、前述のいずれかの路線で日暮里駅まで折り返す必要があります。尾久駅から日暮里駅までの運賃を算出するには、日暮里駅から上野駅までの往復分の営業キロを運賃計算から除外します。最短経路で算出した営業キロ2.6km分の150円が、運賃計算の結果導かれます。

日暮里駅が関係する区間を含め、全国で11箇所の区間が「特定の分岐区間」として指定されています。当記事末尾のAppendixに掲載したリスト(PDFファイル)をご参照ください。

また、東北本線上野駅ー日暮里駅間における区間外乗車の特例に関連し、いくつかの複乗事例を別記事にまとめてあります。ぜひご一読ください。

特定都区市内等における折り返し乗車[規則第160条の3]

東京23区内のJR線の各駅が「東京都区内」として扱われたり、東京都心部にあるJR山手線内のエリアにある各駅が「東京山手線内」として扱われたりするのが、いわゆる「特定都区市内」制度です。

それらの駅から新幹線や在来線特急列車に特定都区市内のゾーン内で乗り継ぐ場合、一部の区間を折り返して乗車する(複乗する)場合も考えられます。このような場合、折り返しとなる区間の運賃を別に負担するのは合理的ではありません。また、出札業務を簡素化するための特定都区市内制度の趣旨にも反します。

このような事情から、特定都区市内制度が適用される各ゾーン内での区間外乗車が認められています。特定都区市内制度の詳細については、以下の記事を是非ご一読ください。

また、横浜市内および大阪市内においては、一時的にゾーンを出てからすぐに当該ゾーンに戻る折り返し状の経路がありますが、特例でゾーン外に出ないものとみなします。

  • 【横浜市内】武蔵小杉駅(川崎市中原区)
  • 【大阪市内】尼崎駅(兵庫県尼崎市)・久宝寺駅(大阪府八尾市)

このために、大阪市内における経路組みに影響が生じることがあります。別の記事にまとめた筆者のエピソードを、是非ご一読ください。

分岐駅通過列車に対する区間外乗車[規則第160条の4第1項]

駅の構造上は分岐駅で列車の乗り継ぎができるものの、特急列車が通過するなどの事情で、その分岐駅で乗り継ぎできないことがあります。このような場合、当該特急列車が停車する別の駅までの区間外乗車が必要です。

本来の分岐駅から実際に乗り継ぎを行う駅までの区間外乗車に関しては、きっぷを購入する必要はありません。ただし、区間外での途中下車ができない点に留意しましょう。

神田駅ー東京駅間にかかる区間外乗車の特例

この特例に該当する区間が、東京都心部にもあります。東北・上越新幹線および上野東京ラインが通過する神田駅から、全列車が停車する東京駅までの区間が、区間外乗車の対象区間に指定されています。

神田駅のような、新幹線や在来線特急列車の通過駅がかかわる区間が、全国で45箇所が区間外乗車の対象区間として指定されています。

対象区間のリストについては、記事末尾のAppendixに掲載してあります。

大都市近郊区間における区間外乗車[規則第160条の4第2項]

前述した分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例に準じた特例が、大都市近郊区間においても規定されています。

大都市近郊区間相互間でユーザーが任意の経路で乗車する際、一部の区間で折り返し乗車となることがあります。いわゆる「大回り乗車」を実行する場合、折り返し乗車にならないよう一筆書きの経路を考える必要があります。しかし、この特例がある区間に限っては、きっぷの経路外区間を例外的に折り返して乗車できます。

大都市近郊区間相互間であるということは、全区間在来線に乗車すると言えます。特例に指定された対象区間に、分岐駅を通過する列車が走っているとは限らないため、分岐駅に停車する列車であっても複乗できると解釈できます。

倉賀野駅ー高崎駅間にかかる区間外乗車の特例

高崎線と八高線が分岐する倉賀野駅(群馬県高崎市)から高崎駅(群馬県高崎市)までの区間が、この特例の対象区間です。高崎駅では途中下車できませんが、倉賀野駅での乗り継ぎにこだわらずに済みます。

分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例に該当する45箇所の内、15箇所が大都市近郊区間における区間外乗車の対象区間にも指定されています。記事末尾のAppendixを参照してください。

大都市近郊区間に関する詳細に関しては、以下の記事も是非ご一読を。

海田市ー広島間にかかる区間外乗車[規則第160条の5]

JR運賃制度に明るい人にとっては既知のことですが、山陽本線海田市駅(広島県海田町)ー広島駅(広島市南区)間の運賃制度が、特例の嵐です。

海田市駅ー広島駅間にかかる区間外乗車の特例

山陽本線三原駅(広島県三原市)から山陽本線海田市駅までの区間には、山陽本線に呉線が並行しています。また、三原駅から広島駅までの区間には、山陽新幹線も並行しています。

山陽本線安芸中野駅(広島市安芸区)方面から海田市駅を経て呉線矢野駅(広島市安芸区)方面に向かう場合、上述した「分岐駅通過列車に対する区間外乗車」が海田市駅から広島駅までの区間で適用になります。途中下車しない限り、広島駅まで折り返し乗車できます。

しかし、山陽新幹線に東広島駅(広島県東広島市)が開業したことにより、状況がより複雑化しました。本来であれば新在同線であるはずの三原駅ー広島駅間が、その影響で新在別線の扱いになりました。そのため、山陽新幹線三原駅以遠の駅から広島駅を経由し、呉線矢野駅方面までの経路が一筆書きとなってしまうのです。

片道の経路が完成してしまったことで、従来の「分岐駅通過列車に対する区間外乗車」と整合性を保てなくなりました。そのため、さらなる特例が誕生したわけです。

本来新在別線である山陽本線・山陽新幹線三原駅ー広島駅間を新在同線とみなし、海田市駅ー広島駅間に関して区間外乗車を認めることで、従来からの区間外乗車と整合が取れる形となっています。

● 規則第160条の5を適用せず広島駅で途中下車するケース

この特例を適用せず、[三原駅以遠(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)矢野駅以遠]の区間を片道経路とすることも可能です。あくまでもきっぷの効力上の特例であり、この特例の適用が強制されるわけではないためです。その場合、広島駅で途中下車が可能となります。

X(Twitter)上で、このケースを偶然発見しました。特例非適用をマルスで対応できず、出札補充券で発券対応されたレアケースです。この券面には、広島駅の特別下車印が押されていますが、本来は途中下車印が押されてもよいはずです。

規則第160条の5は、山陽新幹線東広島駅開業で生まれた特例の特例と言えます。本当にプロ泣かせの区間ですね。

特定列車による折り返し区間外乗車[規則第160条の6]

列車によっては、同じ区間を折り返して直通運転する場合があります。その場合、列車に乗っていながら折り返し乗車する形になり、運賃・料金面で問題になります。

本来であれば、複乗となる区間の運賃・料金をユーザーが負担しなければならないのですが、このようなケースでは妥当ではありません。そのため、一部の区間を折り返して運行する特定の列車に関して、区間外乗車の特例が設定されています。

現在、この特例が適用される列車は、次の通りです(制度上は他にも多くの区間が指定されています)。

  • 快速「リゾートしらかみ」号:川部駅ー弘前駅間
  • 快速「越乃Shu*Kura」号:宮内駅ー長岡駅間
  • 寝台特急「サンライズ瀬戸」号【琴平延長】:宇多津駅ー高松駅間
  • 特急「ソニック」号:西小倉駅ー小倉駅間
  • 特急「36ぷらす3」号:江北駅ー肥前浜駅間
特急36ぷらす3における区間外乗車

この中でも、長崎本線・佐世保線を走る特急「36ぷらす3」号は、途中肥前浜駅(佐賀県鹿島市)に寄り道します。そのため、江北駅(佐賀県江北町)から肥前浜駅までの区間が区間外乗車に当たりますが、特例によってこの区間の運賃・料金がかかりません。

特例設定区間の駅で途中下車する場合の取り扱い「復路専用乗車券」

区間外乗車に関する掲示札幌駅にて

これまでご紹介してきた区間外乗車の特例においては、いずれの場合も折り返しとなる区間にある駅では途中下車できません。

もしも途中下車したくなったら、どのような取り扱いとなるのでしょうか。

その場合、途中下車する駅では、本来の分岐駅からの往復運賃・料金を、ユーザーから収受します(別途乗車)。精算業務のパターンとしては、比較的定型的な処理です。

そこで、一部の駅では「復路専用乗車券」というきっぷがあらかじめ常備されています。精算を申し出たユーザーに、復路分のきっぷを復路専用乗車券として手交することがあります。

かつては多くの駅でこのような取り扱いがありましたが、現在はほぼ消滅した状態です。JR北海道管内の苫小牧駅(北海道苫小牧市)と釧路駅(北海道釧路市)に、わずかに残っています。

  • 苫小牧駅:沼ノ端駅ー苫小牧駅間
  • 釧路駅:東釧路駅ー釧路駅間
苫小牧駅から沼ノ端駅ゆき復路専用乗車券

室蘭本線遠浅駅(北海道安平町)方面から沼ノ端駅(北海道苫小牧市)を経由し、千歳線植苗駅(北海道苫小牧市)方面の駅に向かう普通乗車券を所持するユーザーが、苫小牧駅で途中下車を申し出た場合、往路分の運賃を精算の上、沼ノ端駅ー苫小牧駅間の復路専用乗車券が発売されます。

釧路駅から東釧路駅ゆき復路専用乗車券

また、根室本線武佐駅(北海道釧路市)から東釧路駅(北海道釧路市)を経由し、釧網本線遠矢駅(北海道釧路町)方面への普通乗車券を所持するユーザーが釧路駅で途中下車を申し出た場合には、往路分の運賃を精算の上、東釧路駅ー釧路駅間の復路専用乗車券が発売されます。

まとめ

上野駅構内

複数の線区が分岐する駅(分岐駅)にホームが設置されていなかったり、分岐駅を通過する列車に乗車する場合、本来列車を乗り継ぐべき分岐駅で乗り継ぎができません。その場合、乗り継ぎができる近隣の駅まで区間外乗車することになります。

乗車する区間に対して運賃および料金が課せられるのが原則ですが、このような事情で区間外乗車する場合に運賃および料金をユーザーが負担するのは、不合理です。

そのため、このようなケースが生じる区間には、区間外乗車の特例が設けられています。区間外乗車となる区間に対しては運賃・料金計算の対象外となり、きっぷ上には当該区間が経由線区として記載されない形です。

区間外乗車には、旅客営業規則における規定上、6つのパターンがあります。

区間外乗車の対象区間内の各駅では、途中下車ができません。もしも途中下車したくなったら、区間外乗車となる区間の運賃・料金を別途支払います。ほとんどの駅では現金精算となりますが、まれに「復路専用乗車券」が発行されることがあります。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

Appendix:区間外乗車の対象区間一覧

当記事で取り上げた区間外乗車特例が適用される対象区間を、リストにまとめました。以下のPDFファイルを参照ください。

● 旅客営業規則第160条の2関連

● 旅客営業規則第160条の4・第160条の6関連

参考資料 References

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第160条の2(特定の分岐区間に対する区間外乗車の特例)

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第160条の3(特定都区市内等における折り返し乗車の特例)

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第160条の4(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例)

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第160条の5(海田市・広島間にかかる区間外乗車の特例)

● 旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第160条の6(特定列車による折り返し区間外乗車の特例)

当記事の改訂履歴 Revision History

2024年10月17日:初稿 修正

2024年10月07日:当サイト初稿

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