「タッチでGo!新幹線」メリットとデメリット・利用の流れを説明~交通系ICカードで新幹線乗車体験~

新幹線自動改札 デジタル決済

交通系ICカードやスマートフォンなどの対応端末で、JR東日本管内の新幹線に手軽にチケットレス乗車できる「タッチでGo!新幹線」乗車サービス。

交通系ICカードのチャージ残高から運賃が引き落とされる仕組みが、新幹線にも導入された形です。

新幹線の普通車自由席に限られるものの、ネット予約「えきねっと」いらず、クレジットカードによる決済いらずで利用できるのが、この乗車サービスの大きな特長です。

モバイルSuicaユーザーにしか開放されていなかった以前の新幹線チケットレス乗車サービスが、2018年に「タッチでGo!新幹線」に変わりました。それ以降、交通系ICカードで新幹線に乗車するスタイルが普及しました。

事前の購入操作なしにサクッと自動改札を通れるのが「タッチでGo!新幹線」です。「新幹線eチケット」とは、似たようで全く違うサービスです。

この記事では、最初に「タッチでGo!新幹線」乗車サービスの概要や特長についてお話しします。そして、サービスの利用登録方法や同意事項、および実際の利用方法を、筆者の体験をもとにご説明します。

この記事を読むと分かること
  • JR西日本管内の北陸新幹線停車駅相互間については利用対象外であること
  • 乗車ごとの領収書(明細)は発行されないこと
  • 自由席利用の際「タッチでGo!新幹線」だけがJRE POINT付与対象であること

「タッチでGo!新幹線」乗車サービスの特長

大宮駅新幹線乗換改札

「タッチでGo!新幹線」は、JR東日本管内を走る新幹線の普通車自由席にチケットレスで乗車できるサービスです。紙のきっぷを準備することなく、交通系ICカードなどを使用してチケットレスで乗車できます。

「タッチでGo!新幹線」は、2018年4月に東北・上越・北陸新幹線の首都圏内の一部区間に導入されました。その後、2022年3月には、山形・秋田新幹線を含めたJR東日本エリアの新幹線全区間に利用エリアが拡大されました。

サービスのメリット

以下の特長があることから、利用可能対象者が限定されず、誰でも利用できる点がこのサービスの大きな利点です。

● ネット環境が不要

このサービスの最たる特長は、事前のネット購入が不要で、サクッと自動改札を通って新幹線に乗車できる点です。

東海道・山陽・九州新幹線における「スマートEX」やえきねっとの「新幹線eチケット」では、普通車自由席の利用であっても、ネット上で事前に購入する手続が必要です。いざ乗りたくなった時の手軽さに欠ける点が、「タッチでGo!新幹線」で解決されています。

● クレジットカード決済が不要

交通系ICカードにチャージするのは、現金が基本です。したがって、クレジットカードで決済という流れがありません(ただし、モバイルSuicaへのチャージやオートチャージについては、クレジットカードで決済するという例外があります)。

何らかの事情があってクレジットカードを所有しないユーザーでも、このサービスを利用できます。

● JRE POINTが付与される

JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」のポイントが、「タッチでGo!新幹線」の利用金額に応じて付与されます。

えきねっとの「新幹線eチケット」を利用した場合、ポイントが付与されません(指定席のみ付与対象)。一方、「タッチでGo!新幹線」ではポイントが付与されるのが、このサービスの大きなメリットです。

サービスのデメリット~領収書が発行されない~

このサービスにはメリットがある反面、デメリットもいくつかあります。

● 指定席・グリーン車を利用できない

このサービスは、普通車自由席専用です。普通車指定席やグリーン車、グランクラスを利用する場合、「えきねっと」などのネット予約サービスを利用するか、駅で紙のきっぷを購入する必要があります。

● 領収書やご利用票が発行されない

乗車ごとのご利用票や領収書は、在来線をチャージ残額で乗車する(SF乗車)のと同様に発行されません。後述の通り、交通系ICカードの利用明細で確認します。

領収書が個別に必要な場合は「タッチでGo!新幹線」を利用せず、えきねっと「新幹線eチケット」や紙のきっぷを利用します。

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「タッチでGo!新幹線」の利用対象区間

前述した通り、2022年3月以降、JR東日本管内の全区間でサービスを利用できるようになりました。具体的には下図の範囲ですが、いくつか制限があります。

JR東日本管内の区間に限られる

タッチでGO新幹線利用エリア図

JR北海道が運営する北海道新幹線の全区間、およびJR西日本が運営する北陸新幹線の一部区間(上越妙高駅以西の各駅)はJR東日本エリアではないため、「タッチでGo!新幹線」の対象エリア外です。

当該区間にまたがって乗車する場合、えきねっとの「新幹線eチケット」を利用するか、駅の窓口や指定席券売機であらかじめ紙のきっぷを買っておく必要があります。

料金が設定されている区間のみ乗車可能

JR東日本管内で完結する乗車であっても、「タッチでGo!新幹線」のサービスを利用できるのは、このサービス用の料金が設定された区間に限られます。例えば、東北新幹線の全区間を通しで乗車するといったことはできません。具体的には、以下の制約があります。

● 盛岡駅をまたいで通し乗車できない

東北新幹線の料金に関しては全区間通しで設定されているのではなく、盛岡駅以南と以北で分かれています。

東北新幹線盛岡駅以北の区間で完結、秋田新幹線内の相互間で完結する場合のみサービスの対象です。盛岡駅でいったん出場します。

● 福島駅をまたいで通し乗車できない

山形新幹線内の相互間で完結する場合のみサービスの対象です。福島駅でいったん出場します。

● 大宮駅、高崎駅、越後湯沢駅をまたいで乗車できない

各駅でいったん出場します。

自由席車両がない東北新幹線盛岡駅以北の相互間完結、秋田新幹線の相互間完結、山形新幹線の相互間完結で乗車する場合、普通車の空いている座席を利用できます。

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「タッチでGo!新幹線」の料金~特定都区市内制度は適用されない~

タッチでGO新幹線

「タッチでGo!新幹線」は、普通のきっぷではなく、企画乗車券です。したがって、独自の料金体系やルールが適用されます。

料金体系

「タッチでGo!新幹線」を利用して普通車自由席に乗車する場合の値段は、紙のきっぷ(新幹線自由席特急券+普通乗車券)や「新幹線eチケット」普通車自由席の料金と同額です。

普通車自由席の設定がない一部区間の値段は、[新幹線特定特急券+普通乗車券]の合計です。

普通車自由席にはシーズナリティ(時期別の料金)が導入されていないため、いずれも通年で同額です。

このサービスの利用が多いと想定される主な区間の料金は、以下の通りです。

利用区間料金(大人片道)
東京駅-大宮駅1,670
東京駅-宇都宮駅4,490
東京駅-仙台駅10,560
東京駅-高崎駅4,490
東京駅-新潟駅10,230
2024年6月現行(単位:円)

その他の区間の値段は、「タッチでGo!新幹線」公式ウェブサイトを参照ください。

特定都区市内制度の不適用

のサービスには、紙のきっぷで適用される「特定都区市内制度」は適用されません。新幹線停車駅間で料金が設定されているため、在来線に乗り継ぐ場合には別に運賃を支払います

そのため、在来線にまたがって乗車する場合、通しの区間で普通乗車券を購入するよりも値段が高くなる場合があります。

この場合の料金を、別の記事で詳しく分析しています。是非ご一読ください。

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「タッチでGo!新幹線」初回利用登録の流れ~規約への同意~

チャージ専用券売機
どの端末でも利用開始登録が可能なチャージ専用券売機

「タッチでGo!新幹線」の利用を開始する前に、一回だけ利用開始登録を行います。モバイルSuicaおよびApple PayのSuicaの場合は当該スマートフォン上で、交通系ICカードやその他の携帯端末の場合は「駅」の券売機で手続きします。

この手続きは、クレジットカード情報や個人情報を登録するものではなく、サービスの規約や注意事項に同意するだけです。紙のきっぷよりも料金が高くつく場合の説明などがあるので、よく読んでから同意しましょう。

サービスの規約を公式ページで閲覧できますが、ネット上では利用開始登録の手続きはできません。

媒体によって異なる手順

● モバイルSuica/Apple PayのSuica

各端末にインストールされたアプリ上から手続きが可能です。同意する事項は、以下の手順と同じです。当記事では、アプリ上での操作方法の説明を割愛します。

● 交通系ICカード・上記以外の携帯端末

交通系ICカード(プラスチックのカード)については、駅のチャージ専用券売機の他、いずれの券売機でも手続きが可能です。

携帯端末については券売機に挿入できないため、チャージ専用券売機に限られます。

駅の券売機での操作の流れ・同意事項

まず、駅にある券売機に向かいましょう。サービスの開始当初は、黒い「多機能」券売機だけで手続きが可能でした。現在は、上述したいずれの券売機でも大丈夫です。

多機能券売機
Suicaの新規購入が可能な多機能券売機

黒い多機能券売機であれば、Suicaの購入と利用開始手続きの両方を同時に行うことができます。

多機能券売機操作画面

券売機では、最初に右下の緑色の「チャージ」を押します。

多機能券売機操作画面

次の画面では、一番右下のボタン、「タッチでGo!新幹線」を押します。

多機能券売機操作画面

すると、利用開始登録の画面に入るための最初の説明が表示されます。「新幹線自由席SF乗車サービス特約」が適用されることが表示されます。条件に同意できる場合には進むように案内されます。

登録に進んだ場合、4画面にわたって説明が続きます。登録に2、3分時間がかかるので、券売機をふさぐような格好になります。

多機能券売機操作画面

最初の画面では、このサービスの対象区間と、新幹線乗車の前後の在来線の運賃が通算されないことが表示されます。

多機能券売機操作画面

2番目の画面では、対象区間外の利用はできなくて、乗り越した場合には全区間を精算しなければならないことなどが表示されます(東北新幹線と上越・北陸新幹線を乗り換えなしで利用できない。例:宇都宮駅-大宮駅-高崎駅)。

多機能券売機操作画面

3番目の画面では、自動改札機での細かい操作方法が表示されます。他の乗車券類と併用する場合の操作は、その場で駅員に確認することをおススメします。

NOTE

紙のきっぷで新幹線に乗車する場合、必ず先に新幹線区間の紙のきっぷを自動改札機に入れ、その後に在来線乗車に利用した交通系ICカードをタッチします。順番が逆になると「タッチでGo!新幹線」を利用するとみなされます。

多機能券売機操作画面

最後の画面が、一番重要です。利用する区間によっては、従来の紙のきっぷなどで乗車するほうが安くなる場合があることが表示されます。同意する場合には「利用開始登録を完了する」を押します。

多機能券売機操作画面

同意した場合、利用する交通系ICカードに「タッチでGo!新幹線」を利用する旨が書き込まれて、交通系ICカードが新幹線の自動改札機で利用可能になります。

タッチでGO新幹線利用開始登録票

最後に、「利用開始登録票」が交通系ICカードと一緒に出てきます。

「タッチでGo!新幹線」サービスで実際に乗車!

「タッチでGo!新幹線」サービスが始まったばかりの2018年4月、筆者も「タッチでGo!新幹線」をさっそく利用してみました。

高崎駅新幹線改札口

新幹線の自動改札から入場しました。サービスが始まったばかりだからか、自動改札機の前には周知宣伝のためのスタッフが立っていて、ティッシュを配っていました。

新幹線自動改札機

自動改札機では、紙のきっぷを入れる代わりに、交通系ICカードまたはスマートフォンをかざします。

新幹線自動改札

ちょうど、こんなイメージでしょうか。タッチするだけで入場できるのは一見当たり前に思えますが、新幹線では斬新です。

降りる時も、自動改札機に交通系ICカードをかざせば通れます。この時に、利用料金が差し引かれます。

ICカード残額利用明細

前述した通り、領収書は「チャージ」に対しては発行されるものの、乗車する際に個別には発行されないことに留意しましょう。経費精算のエビデンスになる交通系ICカードの利用明細は、降りた後に駅の券売機で受け取っておく必要があります。

まとめ

JR東日本管内の新幹線で利用できる「タッチでGo!新幹線」乗車サービス。紙のきっぷを買ったり受け取ったりすることなく、チケットレスで普通車自由席に乗車できます。

初めて利用する前には、規約への同意が必要です。スマートフォンアプリ上か駅の券売機で当該規約に同意します。

新幹線停車駅相互間で運賃表が定められていますが、通年で同額です。各線区ごとに料金が定められているため、違う線区に乗り継ぐときには料金が通算されません。乗り継ぎの際、自動改札をいったん出場するとよいでしょう(有人改札で処理してもらっても良いと思います)。

新幹線と在来線を乗り継ぐ際にも、料金は通しにならず別建てです。また、東京都区内と仙台市内で適用される特定都区市内制度も、このサービスでは適用外です。普通乗車券では全乗車区間を通しにできるため、「タッチでGo!新幹線」を利用すると料金が高額になる場合があることに留意したいです。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考資料 References

● 「タッチでGo!新幹線」公式ウェブサイト(JR東日本)2024.6閲覧

タッチでGo!新幹線:JR東日本
あなたのSuicaでかんたん乗車、JR東日本「タッチでGo!新幹線」のWEB サイトです。

● 新幹線自由席SF乗車サービス特約:タッチでGo!新幹線(JR東日本)2024.6閲覧

特約 | タッチでGo!新幹線:JR東日本
チケットレスで新幹線自由席に乗れる「タッチでGo!新幹線」の特約のページです。

当記事の改訂履歴 Revision History

2024年6月28日:初稿 修正

2024年6月26日:当サイト初稿(リニューアル)

2023年01月19日:前サイト第2稿

2018年4月07日:前サイト初稿

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